一夫多妻「ハーレム館」事件の被告が自宅で“連続自殺”していた 「保釈」を認めた裁判所の判断に、識者は「考えられない」と指摘
被告に隙を……
保釈とは、逃亡や証拠隠滅のおそれ、被告の家庭環境などの事情を考慮し、裁判所が被告の身柄を解放するか否かを判断する制度だ。当時、博仁の自宅には元妻10人とその子供4人が集団生活をしていた。そこで10代の女性2人はわいせつ行為の被害に遭ったわけだが、そんな環境下でも裁判所は、共犯者である2人を保釈しても「問題なし」と判断したということだ。この決定について東京地検特捜部元副部長の若狭勝弁護士は、こう首をかしげる。
「共に否認している共犯者を同じ場所に制限住居として指定するのは考えられない。いくら証拠調べが進んだとしても、将来、控訴審などに向けて口裏合わせをすることは十分にあり得るから。留置場にいる時でさえ、互いに会わないように、あるいは言葉を交わせないようにする配慮がなされるほどだから、いわんや、保釈後の状態において、そうした接触を常時許すようなことは通常の発想としてはないと思う」
この見解に対し、東京地裁立川支部の担当者は取材にこう答えるだけだった。
「法律を踏まえて適切に判断したので特に申し上げることはない」
だが、通常ではあり得ない判断を下したことで、東京地裁立川支部は被告2人に「隙」を与えてしまったのではないか……。
妹も自殺
論告で検察官は、博仁被告に懲役10年、千秋被告に懲役3年を求刑した。当初の判決言い渡し期日は今年1月14日だったが、博仁被告は同日未明、自宅で意識朦朧となって救急車で搬送された。千秋被告が自宅で自殺した3週間後のことだ。このため東京地裁立川支部は判決の期日を20日に延期し、体調が回復した博仁の保釈は引き続き認めた。そして16日、またしても不審な出来事が起きた。前出の社会部記者が語る。
「千秋被告の妹で、同じ自宅に住んでいた元妻の千尋氏もそこで自殺をしました」
時系列を整理したい。
千秋被告が自殺をしたのは昨年12月23日だ。その3週間後の今年1月14日に博仁被告が意識朦朧となって救急車で搬送され、その2日後の16日に千秋被告の妹で、同じく元妻の千尋氏が自殺をした。しかも現場は全て自宅だ。これだけの条件が揃っていれば、東京地裁立川支部は少なくとも、千尋氏が自殺をした時点で、博仁被告が14日に意識朦朧となったのは自殺未遂であり、再び自殺を図る可能性を考慮することができたはずだ。であれば判決言い渡しの前に、博仁被告を勾留する措置も考えられたのではないか。
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