日本代表が2年4ヵ月ぶりの「無得点」に終わった理由 サウジの“超守備的”戦術とクウェート人主審の“疑惑の笛”…海外組がケガを恐れるやむを得ない事情も

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勝ち点1を取ったサウジ

 試合は前半9分、鎌田にマークが集中した分、フリーになれた田中碧のスルーパスに抜け出た前田大然が決定的なシュートを放ったが、これは右ポストに嫌われた。後半37分には交代出場の伊東純也が抜け出たものの、このシュートもGKのディフレクトに遭い決定機をモノにすることはできなかった。

 終わってみればサウジアラビアのシュートは前半23分に右SBムハンナド・アルシャンキーティーの放ったヘディングシュート1本だけ(日本は10本)。しかし、これだけベタ引きされてはゴールをこじ開けるのは難しい。

 アウェーで貴重な勝点1を獲得したサウジアラビアのエルベ・ルナール監督は、

「我々にとって、いい結果を獲得できた。美しい試合ではなかったが、組織はしっかりしていた。日本で試合をする場合にオープンな試合はできない。守備は計画通り。0-0という今日の結果には満足している」

と話し、残り2試合についても

「次にオーストラリアは日本とやる。我々は最後にホームでオーストラリア戦。可能性はまだ残っている。まだ2位になるチャンスはある」

とW杯へのストレートインに意欲を見せた。そのためにも、アウェーの日本戦で勝点1を獲得できたことはプラン通り会心の試合運びだったようだ。

日本代表は「警戒される国」

 一方の森保一監督は「押し込んだだけでなく、チャンスで決められるよう、監督としてプランB、プランCの力をつけていかないといけない。オプションとして勝ちきる力をつけないといけない」と課題を口にした。まさに、その通り。

 前回カタール大会のジャイアントキリングと、アジア最終予選の成績から、日本もW杯では警戒される国へとグレードアップした可能性が高いからだ。

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 世界から警戒の目を向けられる国となった史上最強の日本代表メンバー。関連記事【日本代表「W杯」一番乗り! 識者が語る「最終予選MVP」は全7試合出場の“守備の要” 陰の功労者は泥臭いプレーも厭わない“天才”】では、なかでも傑出した活躍を見せた2人のプレーヤーについて詳報している。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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