実は元サラリーマン! IOC会長選に出馬していた「日本人初の立候補者」のスゴい来歴
6月に任期が満了するトーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長の後任を決める選挙が3月20日に行われ、ジンバブエ出身のカースティ・コベントリー氏(41)が選出された。
そこに日本人が立候補していたのをご存じか。
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内村航平や白井健三らの露出を推進
セバスチャン・コー世界陸連会長(68)や、サマランチ元IOC会長の息子、ヨルダンの王子、初の欧米以外出身の会長となったコベントリー氏ら6名とともに名を連ねたのは、日本人初の立候補者となった渡辺守成氏(66)である。
東海大学体育学部出身で、体操選手としての実績こそ乏しい渡辺氏だが、留学先のブルガリアで最先端の新体操に触れると、帰国後、新体操教室の設立に奔走。そこで知己を得たジャスコ(現イオン)に入社し、わが国の新体操の礎を築いた。
それを足掛かりに日本体操協会入りし、2009年に専務理事に就任する。
スポーツ紙記者によると、
「協会では、代表選手の強化に成功し、内村航平や白井健三らスター選手の露出を推進しました」
日本人としてまれなる大出世
13年、国際体操連盟の理事選に立候補し当選。17年には連盟会長選で当選し、兼務のIOC委員にも就任。ここまででも日本人としてまれなる大出世である。
「国際連盟会長として、200カ国以上を巡り器具を贈呈するなど普及に努めたほか、富士通と提携し採点支援システムを構築。IOCでは、不明朗な組織運営を続けていた国際ボクシング連盟に代わって、タスクフォースの座長としてガバナンス強化に辣腕を振るいました」
渡辺氏は、東京五輪でも存在感を示した。
「コロナで五輪が延期される中、他競技に先駆けて東京で国際大会を開催。内村が『できないではなく、どうやったらできるかを考えてほしい』と訴えたこの大会は、コロナ下でも大会開催が可能だと国内外にアピールしました」
昨年までイオンの社員
驚くことに、彼は昨年3月に定年を迎えるまでイオンの社員だった。世界の王族、貴族からマフィアまがいのコワモテまで、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する修羅場で、一介のサラリーマンが頭角を現してきたのである。
「渡辺さんは『世界5大陸の5都市で同時期に五輪を共催する』という公約を掲げていました。これにより開催都市のコストが大幅に削減され、小さな都市でも開催が可能になるといいます」
この構想はIOC内でも話題になっていたという。
「立候補したことでIOC委員にその名前が知れ渡りましたし、落選してしまいましたがIOC内での存在感は増すでしょう」