日本代表「W杯」一番乗り! 識者が語る「最終予選MVP」は全7試合出場の“守備の要” 陰の功労者は泥臭いプレーも厭わない“天才”

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 2026年北中米W杯のアジア最終予選グループC第7戦、ホームでバーレーンと対戦した日本は前半こそ攻めあぐねたものの、後半に鎌田大地と久保建英がゴールを決めて2-0と快勝。勝点を19に延ばして3試合を残しW杯本大会への出場を決めた。予選を突破したW杯出場国は世界最速であり、3試合を残しての決定も過去最速となった。【六川亨/サッカージャーナリスト】

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 昨年9月10日のアウェーではバーレーンに5-0と大勝した日本。今回はホームだけにそれを上回るゴールラッシュを期待されたが、前半はバーレーンの抵抗にかなり苦しめられた。前回の対戦では、バーレーンはホームでありながら選手はリトリートして守備を固め、5BKの守備的な布陣だった。

 しかし今回は前線からアグレッシブにプレスをかけ、マイボールにすると1タッチ、2タッチの素早いパスワークで日本に対抗した。1タッチ、2タッチでパスを回すには選手の距離感が重要になる。バーレーンは左右両サイドで選手がトライアングルを作り、複数のパスコースを作って小気味良くパスを回した。そしてフリーになった選手はためらうことなくドリブル突破を仕掛ける。

 このため日本はボールの奪いどころを絞れず、何度も自陣近くまで侵入を許した。昨年12月から今年1月にかけて湾岸諸国8か国が参加したガルフカップでも、バーレーンはグループリーグでサウジアラビアを3-2で下すと、決勝ではオマーンを破り2度目の優勝を遂げている。そのスタイルは中東勢にありがちな個人の突破に頼った力任せのスタイルではなく、パスワークを基本にしたヨーロッパに近い洗練されたサッカーだった。

鎌田大地と久保建英

 今予選では中東の雄だったサウジアラビアの衰退が目立つ一方、バーレーンは確実に力を付けていた。

 そんなバーレーンに対し、森保一監督は「国内キャンプに、(早めに)来日してからのキャンプでいい準備ができている。我々はホームだが、日本より時差対策や環境対策ができている」と警戒。それでも「選手はタフに粘り強く一丸となって戦ってくれたことが今日の勝利につながった」と選手を称えた。

 試合の流れが変わったのは後半18分に南野拓実に代えて鎌田大地が起用されたことが大きかった。鎌田は前線の攻撃的なポジションに固執することなく、相手の陣形を見てボランチまで下がってパスを受けたり、センターのポジションでパスを出したりと“パスの出し手”にも“受け手”にもなった。

 そして森保監督が拮抗した試合で「個の力で誰が打開してくれるか。久保に期待して起用した」と絶賛したように、久保建英も鎌田が投入されると、それまでの右サイドから中央寄りに位置取りを変えるなど、バーレーン守備陣に的を絞らせないポジショニングで攻撃を活性化した。

 先制点はポストとなった上田綺世のタテパスから中央突破を図り、最後は追走してきた鎌田にパス。鎌田はGKと1対1から冷静に先制点を流し込んだ。

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