日本代表「W杯」一番乗り! 識者が語る「最終予選MVP」は全7試合出場の“守備の要” 陰の功労者は泥臭いプレーも厭わない“天才”

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“勝手気まま”を封印

 これは多分にポジションが関係しているのだろう。トップ下やボランチ、サイドアタッカーとしてゲームをコントロールするのではなく、現在のポジションはウイングバックであり、守備でのタスクも多く、サイドでの上下動を余儀なくされる。その運動量は過去の背番号「10」とは比較にならない。

 にもかかわらず、堂安は途中交代に不満を漏らすことなくその役割を全うした。G大阪時代は“天才”と称され、勝手気ままなプレーも多かったが、今ではその片鱗すら見当たらない。今月16日、ドイツから帰国した際に空港でマスコミの囲み取材に応じると連絡し、MLBの日本開幕戦で盛り上がっている日本について次のようにコメントした。

「もちろん野球の凄さというのは僕がヨーロッパに行ってからも日本の盛り上がりを知っているし、それくらい凄いことをしているのは事実だと思う。ただ、僕たちがW杯で優勝した時には同じくらいの反響があると思うので、僕たちはそれに向けて準備するだけ。スポーツ全体が盛り上がっていくのはいいことだと思うので、切磋琢磨し合いながら、負けじと頑張りたい」

泥臭いプレーを厭わない姿勢

 この発言にキャプテンの遠藤航は、

「最初に思ったのは律(堂安)っぽい。キャプテンとして嬉しいし、選手として今のサッカー界に何が必要なのか、オフザピッチでも考えている。そのアクションを他の選手も嬉しく思っている。この時期に律っぽいのが嬉しく思っている」

 と歓迎した。背番号「10」を担っているからといって“キング”になることなく泥臭いプレーも厭わない。そんな堂安を「陰の功労者」と推した次第である。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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