ソフトバンクは大丈夫? 大金がドブに消えた「大型補強」で優勝を逃した球団の“共通点”を探る

スポーツ 野球

  • ブックマーク

2年目に奏功したソフトバンクの大型補強

「80億円補強」で話題を呼んだのが、2023年のソフトバンクである。日本ハムからFAの近藤健介を7年総額50億円で獲得し、DeNAの捕手・嶺井博希、ロッテの守護神・オスナ、さらには前レンジャーズの有原航平を3年総額15億円で入団させた。

 だが、開幕10試合を8勝2敗と好スタートも、7月に12連敗を記録するなど、夏場以降失速し、シーズン3位でV逸。藤本博史監督も「ここぞというときに勝てなかった」の言葉を残して辞任した。

 チームが勝ち切れなかったのは、アストゥディーヨ、ホーキンスの両助っ人が揃って“大外れ”に終わり、近藤、柳田悠岐以外の主軸が十分機能しなかったこと、投手陣も守護神・モイネロが7月に左肘関節炎で離脱し、有原以外に二桁勝利を記録した先発投手がいなかったことなどが挙げられる。

 だが、大型補強にかけては巨人に引けを取らないソフトバンクは、翌24年も西武の主砲・山川穂高を年俸4億5000万円で獲得し、打線を強化。移籍2年目の近藤が首位打者、山川も本塁打王と結果を出した。一方、投手陣は有原が14勝、先発転向のモイネロも11勝を挙げるなど、投打がかみ合い、小久保裕紀新監督の下、4年ぶりリーグVを達成した。初年度は失敗した大型補強が2年目に奏功した形だ。

 今季はさらに前レッドソックスの上沢直之を4年総額10億円で獲得。5年ぶり日本一奪回を狙うが、はたして結果はどうなるだろうか。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。