今季が正念場…“崖っぷち選手”は生き残れるか? 「巨人小林の“市場価値”は低くはない」と他球団の編成担当者

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中田は手薄になったファーストでレギュラーを獲得できるのか

 セ・リーグでもう1人正念場のシーズンを迎えているのが、中田翔(中日)だ。日本ハムでは3度の打点王に輝いたものの、チーム内でのトラブルで2021年シーズン途中にトレードで巨人に移籍。さらに2023年オフには出場機会を求めて自ら望んで自由契約となり、昨季から中日に移籍した。

 しかしながら、1年目の昨季は、わずか4本塁打、21打点と寂しい数字に終わった。中日とは、推定年俸3億円の2年契約。今年が契約最終年を考慮しても、かなりの結果が求められる。

 春季キャンプには体重を15キロ減らして臨むなど、並々ならぬ意欲が感じられた。そんな中田だが、“追い風”となる要因もある。ファーストのレギュラーとして長く活躍してきたビシエドが昨年オフに退団。その代わりに、新外国人のボスラーを獲得しているが、本職は外野手(オープン戦ではサードで出場)であり、ファーストは手薄な状況が続いている。オープン戦からしっかり結果を残せば、レギュラーで復活する可能性も高いだろう。

ベテランの「経験」がモノを言う部分が多いのもプロ野球

 一方、パ・リーグでは、美馬学(ロッテ)、平野佳寿(オリックス)のベテラン投手も苦しい立場に追い込まれている。

 美馬は、楽天で長く先発として活躍し、2019年オフにFAでロッテに移籍。ロッテでも2度の二桁勝利をマークして結果を残したが、昨季は怪我もあってプロ14年目で初の0勝に終わった。

 オフの契約更改では本人も「クビだと思っていた」とコメントしており、推定年俸は1億円ダウンの4000万円となった。ただ、ロッテのチーム事情を考えると、佐々木朗希(現・ドジャース)とメルセデス(現・台湾統一)が抜けたため、先発投手が足りない。まだまだ美馬にも残されたチャンスはありそうだ。

 平野はメジャーでも活躍し、2021年からオリックスに復帰。2023年に日米通算250セーブを達成するなど、リーグ三連覇に大きく貢献した。昨季は4月下旬から調子を落として、5月には登録抹消。そのまま一軍復帰を果たせずにシーズンを終えている。今年で41歳となり、推定年俸は1億6500万円と高額だ。正念場のシーズンであることは間違いない。ただ、オリックスのリリーフ陣も故障明けの選手が多く、助っ人のマチャドやペルドモへの依存度が高くなることを考えても、平野の存在は、まだまだ大きい。調整が順調ならば、大事な場面を任される可能性は高い。

 他にも厳しい立場の選手は多く、近年はフィジカル面の数値やトラッキングデータでシビアに見られるケースが増えている一方で、数字で評価できない点もあるという。前出の編成担当者はこう話す。

「シーズン中の査定は、担当者があらゆる指標からつけていますが、全てが杓子定規になっているわけではありません。実績のあるベテラン選手になってくると、“査定以外の部分”で評価されることも多々あります。最近は色んなデータも多くなってきていますが、やはり経験がモノを言う部分が多いのもプロ野球の世界で、特に優勝争いがかかってくると、ベテランの力が必要になることも多いですからね」

 追い込まれたベテラン選手の“逆襲”はなるか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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