「渡辺恒雄」没して、プロ野球「16球団」構想は進むのか 「王貞治会長」は推進も、現実には大きな壁が

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レベルが下がる

 しかし、それから5年――。昨年、「オイシックス新潟アルビレックスBC」と「くふうハヤテベンチャーズ静岡」の2チームがNPBの二軍に加盟するなどの動きはあったものの、16球団構想が大きな議論になることはなかった。なぜか。NPBの最高意思決定機関はオーナー会議である。

「その影の最大の実力者であった渡辺さんが消極的だったからと見られています。渡辺さんは常々、球団を増やせば、プロ野球のレベルが下がると言っていた。アメリカも16球団の時が最適で、日本の人口はアメリカの半分だから8球団がベストだ、と。また、球団を増やし、そこに新興企業が入ってくることにも強い警戒心を抱いていました」(前出・吉見氏)

 実際、2004年の球界再編時、渡辺オーナー(当時)は、近鉄のオリックスへの球団譲渡に加え、ロッテとダイエーによる球団合併案があることを念頭に、「10球団1リーグ制」を唱えた。この「球団縮小」案に反発し、古田敦也選手会長(当時)が史上初めてストライキを実行。一連の騒動の渦中に、渡辺オーナーが「たかが選手」と言い放ったのはあまりに有名だ。

 また、渡辺オーナーは、「消費者金融やギャンブル企業が買ったらどうするつもりだ」と述べるなど、新興企業の参入には消極的だった。近鉄が消費者金融「アコム」とスポンサー契約をしただけで、「近鉄は堕落したのか」「出て行ってもらってよい」と激しく批判したほどである。

ホリエモンの対談

 その渡辺氏も世を去った。

 死の直前、昨年11月に16球団構想についてネットメディアでコメントしていたのが、堀江貴文氏。「ライブドア」の社長として球界再編騒動の際、近鉄と買収交渉を行い、NPBへの加盟も申請した。しかし、認められたのは楽天のみであった。

 彼は現在、独立リーグ「九州アジアリーグ」に加入する「北九州下関フェニックス」のオーナー。「集英社オンライン」でのマンガ家・クロマツテツロウ氏との対談でこう述べている。

<独立リーグやってて思うのは、やっぱり日本人は野球好きだから政令指定都市にひとつずつ球団があっても全然おかしくないし、すっげー盛り上がると思う>

<でも、楽天の三木谷(浩史)さんやDeNAの南場(智子)さんは増やさない派。「12個しかない免許を取りました」みたいな考えらしいんですよね。だからつまんねーなって>

<(再び新規参入を目指す)道はふたつあって、ひとつはナベツネさんがいなくなったら16球団にしようって派閥もあるんで、そこでいく手もある。王(貞治)さんとかも16球団派ですから>

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