フジテレビだけじゃない 大手企業にも残っていたアナログ「接待」文化 「CAが制服に着替え、“セクシーアナウンス”で盛り上げていた」

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保険会社ではイケメンがご接待

 こうした“被害”は女性に限った話ではない。

 大手生命保険会社の幹部は、

「採用ではやはり学歴は重視される。しかしもう一つ採用で欠かせないと言われる不文律がある」

 と声を潜める。

「それは見た目も加味するということ。支店の営業に配属された際に外交員の女性から好かれ、支店の営業成績を上げることが評価に繋がるので、やはりルックスが良い方が有利」

 忘年会や懇親会では、稼ぎ頭のベテラン女性外交員から逆セクハラまがいの行為を受ける事も多々あるそうだ。しかし男性営業社員はニコニコ笑顔で耐えているケースが多いという。

ゴルフ接待は業務ですか?

「接待」の対象は社外だけではない。

 ある大手金融機関に勤務する、ゴルフ好きの女性行員は、実は会社ではゴルフが出来ないことにしているという。クラブを握る女性は増えたとはいえ、男性と比べれば少ない。仮にできると話してしまえば、これ幸いと呼び出されることが目に見えているからだ。

 事実、プレーすることを正直に話してしまったある女子行員は言う。

「社内ゴルフに次々と誘われてしまい、誰の車で行き帰りするのか、ゴルフウェアはどのようなものにするかと気を揉むことが増え、毎回憂鬱だ」

 社内ゴルフは勤務時間に入らず、プレー費が割り勘になる事もある。行内の実力者の中には、同じ組み合わせに女性行員が居ないと不機嫌になる者もいた。コンペではこの上司好みの女性行員に必死に部下が声をかけているという。ゴルフが好きだから誘っているだけだ、断ればいいという反論もあるかもしれない。しかし休日ゴルフすら、企業の中では女性接待に繋げる動きが半ば公然の忖度で行われている背景を考えれば、本心から楽しく参加しているのか甚だ疑わしい。

日本企業の接待文化の根源

 筆者はあらゆる業界の名だたる大手企業で社内外の女性、時に男性をも利用した接待が繰り返されてきたことを今回の取材で改めて実感した。企業文化に詳しい研究者は、

「経費削減で銀座の高級クラブなどが使えなくなった。しかし変わらず女性が接待に加わることを期待する社の上層部への忖度が働き、部下たちが身近な所から機会を作り出そうと無理をしたのだろう。それがトラブルに繋がる要因となっている。また会食やゴルフへの参加を当然と受け止めさせる、同調圧力こそがハラスメントである」

 取材に応じた関係者の話は過去の事例も含まれている。いまや外見や若さを理由に接待を強いられるということがあるとすれば、コンプライアンス違反であることも明白だ。クライアントや上司など、力の強いものが、下の者に異性であることを理由とした接待を事実上、強要する状況のほんの氷山の一角を筆者は取材したに過ぎないが、組織としての古い体質が根深く残っている実態がどの事例にもある。フジテレビを取り巻く疑惑は、大手企業にとってもとても他人事では済まされないのだ。

多角一丸(たかく・いちまる)
元テレビ局プロデューサー、ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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