体操・宮田笙子の「五輪辞退」はどのくらい妥当だったのか 「当然」から「あまりに重い」に分かれた世論

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「負ける可能性がある」と判断

 当時、宮田選手の問題が報じられると、大勢のコメンテーターが“真面目にやっている人に失礼”“自覚が足りない”などと彼女の非を相次いで指摘し、出場辞退は致し方ないと述べた。

 だが、「辞退」という処置の妥当性については、体操協会はもちろんのこと、各種スポーツ団体が知っておいたほうがいいだろう。というのも、今回の場合、宮田選手がすんなり「辞退」をのんだのでつつがなく進んだのだが、仮に抵抗していたら協会は苦境に陥った可能性があるというのだ。

 元テレビ朝日法務部長で弁護士の西脇亨輔氏に聞くと、

「今回、協会は正式な“処分”を下していません。宮田選手と話し合い、本人が納得して“辞退”した形を取らせています。おそらくこれは、協会が“処分”として五輪への出場権を剥奪してしまうと、後から訴訟や仲裁を起こされた場合、負ける可能性があると判断した結果だと思います」

 なぜ、負けるというのか。

「20歳未満の飲酒喫煙は違法ですが、行った当人への罰則はなく、直接的な被害者も存在しません。法律的な視点に立てば、そのような罪に対して、五輪の出場権を剥奪する罰はあまりに重く、釣り合わないと考えられるのです」(同)

「代表権を失うほどではない」

 五輪出場経験がある元陸上選手の為末大氏も、騒動の渦中で以下のように語っていた。

「ピークが短い体操選手は、4年に1度しかない五輪に競技人生の全てを捧げているといってもいい。宮田選手の飲酒喫煙が問題なのはもちろんですが、きちんと謝罪を行えば、代表権を失うほどではないと思います。今からでも協会は彼女の辞退を撤回し、出場を認めてあげてほしいと切に願っています」

 宮田選手は真摯に反省の言葉を口にした上で、すでに新しいステップに進んでいる。五輪後、9月に開催された国民体育大会の会期前競技では福井県代表メンバーとして出場。団体優勝を成し遂げている。騒動時に自身のインスタグラムの全投稿をいったん削除したが、現在はどの投稿にも温かいコメントが並んでいる。ファンの期待に応え、再び世界の大舞台で宮田選手の活躍を目撃する日も近いだろう。

デイリー新潮編集部

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