「みどりの窓口」削減に「青春18きっぷ」改悪も…2024年に注目された「鉄道」ニュースを総ざらい
仕事は楽になったが気苦労は増えた
――Aさんは、そういった高齢者に同情することもあるのではないですか。
A:はい。会社からは「スマホ利用者が増えているので、時計も時刻表も要らない」と説明されていますが、直接お困りのお客さまと対面すると「ですよね。困りますよね……」と同情せざるを得ません。
――地方の鉄道は高齢者が支えている面もあるのに、これでは利用者が鉄道離れを起こしかねないと思うのですが。
A:おっしゃる通りで、首都圏や都市部は働き盛りの現役世代が鉄道利用者の主体ですが、地方の鉄道は学生と高齢者が主体です。そんな重要な存在である高齢者に不便を強いるのはどうかと思います。地域によって鉄道事情は変わるので、全国一様に同じルールを押し付けるのはさすがにどうかと感じることはあります。
――その一方で、コストカットで仕事が楽になった面があれば教えてください。
A:コストカットで設備を撤去しているので、テレビの電源を入れる、無人駅を管理する、配布物を補充するといった業務は減っています。財産や設備の維持管理に関する部分は、ずいぶんと楽になっているのではないでしょうか。まあ、そのぶんクレームを言われて気苦労が増えるので、私個人としてはむしろマイナスですが……。
青春18きっぷの利用者は減った印象
――システムが変わってから、初めての青春18きっぷのシーズンが始まりましたね。
A:切符の前売りの時期にみどりの窓口に来たお客さんは、「どうして改悪したんだ!」という“厄介な鉄道オタク”が多かったです。以前は利用期間であればいつ使い始めても良かったのですが、今回からあらかじめ利用開始日を決めて購入する仕様になりました。そのため、以前のように「とりあえず買っておいて、いつ行くか決める」という使い方ができなくなりました。そして、利用開始日の1か月前にならないと発売できなくなったのですが、そう伝えても、物凄い剣幕で「今すぐ出せ!」とお怒りになるお客さんもいました。
――青春18きっぷを使って旅行する利用者の雰囲気も、何か変化はありますか。
A:これまでは駅の有人改札を通るルールだったので、なんとなく客層や利用者の雰囲気はわかっていたのですが、今回から自動改札で通れるようになったため、正直、利用している客層はわかりません。ですが、有人改札を通らないぶん、「途中下車印ください!」コールは確実に減りました(笑)。
――念のためここで事情を説明しておくと、途中下車印は通常の切符で途中下車した際に確認のために捺すもので、青春18きっぷに捺す必要はないんですよね。利用者、特に鉄道ファンが求めるので駅員がサービスで捺しているものです。
A:そうです。青春18きっぷに捺す必要はありません。旅の記念になればと思い、サービスで行っているものなのに、その下車印がきれいに捺せなかったりすると怒り出す人もいたので本当に困ります。
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