【奈良県K-POPコンサート】「維新」公認、元「朝日新聞」記者の知事が「2億5000万円」投入を決めた“知られざる背景”

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韓国側の注文

 これらの論点についての議論はまだ煮詰まっておらず、10月の実施に向け、今後も物議を醸すことは必至だが、そもそも、奈良県はなぜこのイベントを行うことになったのか。県政関係者は言う。

「知事案件です。知事は昨年訪韓し、忠清南道の知事と面談しています。今年は向こうの知事も来日し、東京で面談している。そうした中で、無料コンサートを依頼され、安請け合いで“わかりました”と深く検討せずに返事をしてしまったと見られています」

 しかし、いざ交渉が始まると、

「韓国側は細かい条件を付けてきました。ステージは高規格なものにしてほしい、レーザー照明はこれ以上のものにしてほしい、などといった具合に。その条件があまりに多過ぎて、費用が膨れ上がってしまった」

 山下知事は56歳。東大文学部を卒業し、朝日新聞の記者になったが、後に京大法学部に編入学し、卒業後は弁護士となった。2006年、生駒市長に37歳で当選。当時としては全国最年少の市長となった。3期務めた後、2015年に奈良県知事選、2017年には奈良市長選にも出馬したが、落選。昨年の知事選で、5選を目指した荒井正吾知事らを破り、当選した。

「しかし、個々の政策の実現においては、熟慮に欠けるように見える場面が見られます。思いつきでものを言っているように感じることもしばしばです。山下知事は、前知事が決めた奈良の大規模防災拠点整備計画を白紙に戻したのですが、その是非はともかく、その上で防災対策をどうしていくかについては練り上げられた見解が見えない。事業を中止すること自体が目的だったように見えてしまうほどです」

前知事の否定

 昨年の知事選の際、山下知事は前知事の政策を厳しく批判することで支持を得た。

「ですから、発想の軸に、前知事の施策の否定があるように思える。防災拠点の話もそうですし、天平祭運営費負担の廃止も同様です。天平祭は前知事時代に始まった行事ですが、今年度で終了となりました。今回、K-POPに飛びついたのも、70代後半と高齢だった前知事との違いを際立たせたかったのではないかと思える。前知事と比べ、若い自分は若年層向けの施策も出来る、とアピールしたかったとの思惑もあったのではないでしょうか。しかし、一方で、彼の口癖は“費用対効果が重要”“一過性の事業はやらない”です。でも、今回のK-POPイベントなどはまさにその思想に反している。説明が付かないですよね」

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