雇用調整助成金「1億5000万円」を騙し取った中国系料理店の闇
社名と社長の変更
東京労働局の公式サイトには、不正に受給した会社はA社とB社であり、その代表はC氏だと記載されている。ところが、実際に虚偽申請したのは「株式会社D」と「株式会社E」であり、その代表取締役はF氏とも書いてあるのだ。調査関係者が言う。
「代表のF氏は中国出身で、日本名を名乗ることもあります。日本への留学をきっかけに飲食店の経営に乗り出し、2013年10月に会社を設立しました。一時期は公式サイトに10を超える居酒屋や中華料理店の店名が記載されていました。経営の腕は確かで、2020年には西日本に支店を開設。ちなみにコロナ禍の2021年には300食の弁当を無料で配付。美談として地元のメディアが記事にしたこともあります」
コロナ禍で生活苦に悩む人々を無料弁当で助けたF氏が、コロナ禍が原因で従業員が休業したと嘘の申請を行い、助成金を不正受給したわけだ。
「不正申請と受給は会社ぐるみで行われました。実際は営業を続けていたのに、店を閉めて休業していたと虚偽の申請を行ったわけです。しかも東京労働局の調査によって不正受給が発覚すると、返済期限までに一括返済せず、分割返済を選択しました。こうなると東京労働局の公式サイトで公表される対象になるわけですが、この対策としてF社長は2024年1月にDの社名をAに変更し、2月にC氏を社長に就任させたのです」(同・調査関係者)
夫の店を妻に譲渡
C氏は役員など要職に就いたことはなく、単なる従業員だったという。東京労働局が不正受給を発表しても、D社とF氏の名前が記載されないよう手を打ったのだ。
「当たり前ですが、そんな悪知恵はすぐにバレてしまいます。東京労働局がC氏を事情聴取し、『不正受給のために、あなたは社長に就任させられたのですよ。知っていますか?』と訊いたところ、C氏は『私は何も訊いていません』と説明。結果、AとDという新旧の会社名と、前社長と現社長の氏名を共に発表することになったのです」(同・調査関係者)
ちなみに不正受給分を返済するだけでなく、不正受給の罰金にあたる加算金も科せられている。それなりのペナルティを受けたわけとは言えるだろう。
だがF氏が反省しているかどうかは分からない。社名と社長を変更して懲りたはずなのに、実は“資産隠し”が進行しているからだ。
「旧D社は2020年4月、子会社を設立しました。都内で2軒の居酒屋を経営していたのですが、今回の不正受給が明るみになると、F氏は株主を変更します。具体的には自身の妻と、自分の腹心を1位と2位の株主とし、妻を代表取締役、腹心を取締役に就任させました。そして不正請求の舞台になった飲食店の従業員や事務員、資産を子会社に移動させたのです。実は旧D社、A社、そして子会社の本社機能は都内にある同じビルに置かれてきたのです」(同・調査関係者)
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