元従業員が告発! 「山崎製パン」デニッシュ消費期限偽装の手口 「手作業でパンの袋を全部開封して翌日分として再包装」

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「予算」に追われる社員

 グループでの売り上げ1兆円超を誇る「山崎製パン」。これまで「週刊新潮」は同社のさまざまな問題点を報じてきたが、今回、元従業員から新たな証言を得た。それは食品を扱う企業としては致命的となりかねない「消費期限偽装」の具体的な“手口”に関するものだった。

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 山崎製パンの工場では、約10年で4名が事故死しているものの、同社はそれを公表すらしていない。わが国を代表する食品会社にあるまじきコンプライアンス意識の低さである。この問題についてはすでに「週刊新潮」(4月18日号)で指摘した通りだが、そうした同社の“体質”は、消費者に直接関わる部分での驚くべき不正も招いていた。

「商品、部門、工場など、さまざまなカテゴリーごとに予算があり、社員は常に予算に追われている状態です」

 と、山崎製パンの元幹部が明かす。「予算」とは、山崎製パンの社員に課されるノルマのことを指す同社独特の用語である。

「営業担当の社員が自腹を切ることもあります。店に納入したお菓子などを予算達成のために全部自分で買ったりするのです。また、“キワモノ”と呼ばれる、その時期にしか販売しないようなものを自分で買うこともあります。例えば、5000円もする鏡餅を小さな店に置かせてもらったけれど、高くて売れないので最終的には自分で買う、といったケースもあります」(同)

「指示を直接出すのは工場の係長」

 次のような不正が行われるのも、「予算」の圧力が強いからであろう。

「私が働いていた工場では、消費期限を変えてしまう、ということをやっていました。消費期限の偽装と言ってもいいでしょう」

 そう語るのは、山崎製パン阪南工場の元従業員だ。

「注文を受けてパンを製造したものの、発注元が在庫を抱え過ぎていて、“やっぱりいらないです”と言われることがあります。そういう場合、手作業で商品の袋を全部開封してパンをベルトコンベアーに流し、翌日の納品分として包装しなおすのです。当然、消費期限の表記も繰り越されます。1回に包装し直すのが100個や200個という数になることもありました」(同)

 そうした手法で消費期限偽装が行われていたのは、主に「デニッシュブレッド」という商品シリーズ。2~3日に1度ほどのペースで行われていたというから、常態化していたと言っても過言ではなかろう。

「指示を直接出すのは工場の係長です。現場の従業員は当然、それが消費期限の偽装に当たることを認識しています。しかし、それを係長に問い詰めても面倒なことになるだけなので、皆黙って従うのです」(同)

山崎製パンは「調べようもない」

 詰め替えという悪質な消費期限偽装について、山崎製パンの広報部門担当者は「週刊新潮」の取材に対しこう答えた。

「食品衛生部門に確認したところ、そういうことはないと言ってます。(ただし)周りの目を盗んでちょっと悪いと思いながらもやってしまったということがゼロかどうかっていうのは、調べようもない」

 いや、決めつけずに調査を試みることこそが、人の口に入る「食品」を製造している企業としての最低限の責務ではなかろうか――。

 有料記事「『新入社員の女性が手首を切って自殺』 山崎製パン元従業員が明かすブラック過ぎる労働環境…『消費期限の偽装もやっていた』」と「週刊新潮」5月16日号では、現役社員を含む内部からの告発に基づき、山崎製パン専務による不正経理や、ブラックすぎる労働環境について詳しく報じている。

週刊新潮 2024年5月16日号掲載

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