新幹線開業で生まれた「猫ミームみたいな鉄道」 敦賀止まりも追い風に? 「ハピラインふくい」の実力

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トンネル維持という重責

 これより長い陸上トンネルはいずれも新幹線のもので、海底の青函トンネルも現在では新幹線と団体専用列車でしか通過できない。優等列車がなくなっても貨物列車は残っており、普通列車での地域輸送に加え、北陸と関西をつなぐこのトンネルの維持という重責も同社は担っている。

 交通の難所でもある敦賀周辺は、JR西日本に残った敦賀~新疋田間のループ線、北陸トンネル完成前の北陸線旧線を道路に転用した「旧北陸線トンネル群」が現役のインフラとして使われている。このようにかつて群馬・長野の県境にあった信越本線の横川~軽井沢間の“横軽”にも劣らない鉄道遺産が残っているし、在来線の北陸トンネルは現役だ。

 JR時代よりも地域本位の経営の自由度が高まり、早速新駅の計画が進んでいる。その第1弾は武生~王子保(おうしお )間に来年春に開業予定の「しきぶ駅」。駅名の由来は、駅の近くの「紫式部公園」から。藤原為時が越前国司に任ぜられた時期があり、その時代に娘の紫式部もこの地に滞在していたと推測され、当時の越前国府があったと推定される武生の街に平安庭園風のこの公園がある。福井の観光地といえば恐竜や東尋坊のイメージが強いが、ハピラインふくいの沿線にもこのように見どころは少なくない。

 懸念点は、特に福井から敦賀方面の列車は2両編成がほとんどで輸送力に難があるところ。ただし、すでにラッシュ時の混雑のために、夕時間帯の敦賀方面1往復と芦原温泉方面1往復を4月中の平日一杯は2両から4両に増結していて、利用者から評判は上々だ。

 大型連休期間にも、特に敦賀方面からの観光客がどれだけ新幹線ではなくハピラインを選ぶかで、同線の収益や快適性が変わってくるだろう。できれば、福井以南も恒常的な増結を図って、地元ユーザーと旅行客のどちらにも「ハッピーハッピー」な鉄道になってほしい。会社発足当時の不安感を吹き飛ばす可能性は十二分にある。

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