新幹線開業で生まれた「猫ミームみたいな鉄道」 敦賀止まりも追い風に? 「ハピラインふくい」の実力

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新幹線のおかげで通過待ちなし

 JRから新会社となった同線は、新幹線開業前に走っていた特急「サンダーバード」や「しらさぎ」が全て新幹線に置き換えられ、特急街道から普通や快速だけが走る路線に。大阪方面へのサンダーバードと、名古屋・米原方面へのしらさぎがほぼ合計毎時2本走っていたが、その分、普通列車は何度も特急の通過待ちを余儀なくされていた。

 だが、新幹線のおかげで通過待ちがなくなり、パターンダイヤ化と所要時間の短縮も実現した。早朝から深夜まで、福井~武生間では30分間隔、それ以外の大聖寺~福井間と武生~敦賀間は1時間間隔を維持し、ラッシュ時は区間運転の列車が加わる。IRいしかわ鉄道との直通運転で、JR時代と変わらず金沢方面への列車も運転されている。

 普通列車で敦賀~福井間は約50分、福井~金沢をIRいしかわ鉄道も乗り通して使えば約80分。新幹線ではそれぞれの区間は約20分と約40分となるが、敦賀~福井間であれば新幹線が運賃と指定席特急料金合計3660円 に対し、ハピラインふくいは1140円。30分遅いが料金は3分の1と考えれば、福井近辺までなら旅行者にも十分選択肢とならないだろうか。

 朝晩には福井~敦賀間で上下9本の快速も運行。途中は鯖江、武生、南条もしくは今庄にのみ停車する設定となっていて約40分で走破できる。かつての特急(福井~敦賀無停車で約30分)には及ばないとはいえ、長距離を移動したい乗客と近距離の乗客のニーズを分離。混雑の緩和も図っていて、まずは攻めのダイヤ設定を打ち出した。

 フリーきっぷはハピラインふくい単独で乗り放題の「ハピラインふくい1日フリーきっぷ」が大人1500円、福井鉄道とえちぜん鉄道も乗車できる「ハピラインふくい開業記念 鉄道3社共通1日フリーきっぷ」が2000円、あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道と共同で旧北陸線区間を通しで利用できる「あいの風・IR・ハピライン連携 北陸3県2Dayパス」が2800円で設定された。

 ハピラインふくいは今、「普通列車で通過できる国内最長トンネル」を持っている。トンネル延長1万3870メートル、国鉄時代の1962年に開業した北陸トンネルだ。木ノ芽峠をループしていた旧線から峠を一気にトンネルで貫通した北陸路の要衝も、新幹線開業で同社に移管された。敦賀駅から同線に乗ると2分ほどでトンネルに突入し、10分弱でトンネルを抜ける。

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