韓国に敗れて明らかになった主力組と控え組の実力差 GK小久保のベンチスタートも疑問

スポーツ

  • ブックマーク

Advertisement

FW陣に求められる“個の力”

 GK小久保玲央ブライアンは2試合を通じて安定感があり日本の連勝に貢献した。しかしGK野澤大志ブランドンは後半12分に左サイドを独走したMFホン・ユンサンの放った何でもないシュートを後ろにそらし、あわやOGという危なっかしいプレーを見せた。

 CB高井からのバックパスをワンタッチで蹴らず、トラップして相手にカットされそうになったこともあった。これは今シーズンのFC東京でも何度か見られたプレーである。左足のキックに自信がないからだろうが、そうした癖は相手につけ込まれる危険性がある。

 ボランチのMF田中聡とMF川崎颯太も、勝負どころで大岩剛監督が松木と藤田に代えたことからもファーストチョイスは後者の2人であることがわかる。

 田中と川崎は、守備では奮闘したものの攻撃では物足りなさを感じた。まず判断が遅いためタテへの選択肢がない。安全性を優先したのかもしれないが、サイドへ展開するかバックパスばかりで日本の攻撃を停滞させていた。パススピードがないのもJリーグの下位チームに馴染んでいるせいかもしれない。

 彼ら2人だけでなく、サイドへ展開してもドリブルで勝負できるのは、前半ならFW平河悠だけ。後半はFW藤尾翔太も右サイドで果敢に突破を試みていたが、内野航太郎を始めFW陣はもっと個人で勝負を仕掛けて欲しかった。

勝利は攻撃陣の爆発が不可欠

 足元から足元につなぐだけで崩せるほどアジアは甘くない。後半26分に松木が見せたように、個人で状況を打開してこそ相手守備陣は混乱に陥る。

 グループリーグの3試合を通じて、やはり主力組と控え組では実力差があることがわかった。ここからは一発勝負の連続だけにターンオーバーを採用するのも難しい。

 あと2試合、ベストメンバーでの奮闘を期待するばかりだ。そして攻撃陣の爆発も不可欠なのは言うまでもない。FC東京が荒木遼太郎を0トップに起用して、松木と2トップに近い形で浦和を混乱させた布陣も面白いのではないだろうか。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。