韓国で医学部教授が3000人一斉に辞表! 医師不足の韓国で何が起きているのか

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 韓国の医療が大混乱に陥っている。

 コトの発端は2月6日までさかのぼる。韓国政府が、2025年度から医学部の定員を現在の全国計3058人から約1.7倍の5058人に大幅増員する案を発表したのだ。

 背景には、地方などを中心に医師が不足している事情がある。韓国の人口1000人当たりの医師数は2.1人(21年)、OECD加盟国平均の3.7人(同)を下回る。

 だが、この案に医師らが反発した。

「いわく、医学部生の受け入れの準備が間に合わない、定員増は医療の質を下げると猛反対。各地の病院の研修医も抗議のため一斉に辞表を提出。3月上旬時点では、全国の研修医の9割以上に当たる約1万2000人が職場を離脱しました」(在韓ジャーナリスト)

大規模病院は4割が研修医

 韓国では、医学部を経て国家試験に合格すると医師免許を取得できる。その後の1年間のインターンと3~4年間のレジデントの研修課程にいる者が研修医だ。

 研修医が離脱してもさほど困るまいと思うムキもあろう。だが、構造的な問題を抱える韓国医療界にとっては深刻だ。韓国では大規模病院の医師に占める研修医の割合が大きく、その率は基幹病院で約4割。つまり、研修医あっての病院運営で、

「患者にしわ寄せがきています。たとえばがん患者。医療体制の逼迫(ひっぱく)を理由に抗がん剤治療を拒絶されることが相次いでいます。心筋梗塞の患者が大学病院で診療を拒否され、適切な治療を受けるのが遅れて亡くなった例も報じられました」

 消えた研修医の仕事を肩代わりする上級の医師の負担も増えている。

 釜山大学病院では40代の眼科教授が脳出血で死亡。研修医の大量離脱後、仕事が増えて周囲に疲労を訴えており、過労死の可能性が指摘された。

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