【小池知事・学歴詐称疑惑】私文書偽造で立件されたとしても、政治家としては逃げ切る可能性…サッチーの“コロンビア大卒”とも比較

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リコールも非現実的

 もし今年7月の都知事選に小池氏が立候補したものの、突然「カイロ大卒」の学歴が消されていたとしたら、大騒ぎになるのは間違いない。学歴詐称の疑いは強くなり、投票する有権者がいるのかという疑問が浮かぶ。

 強行突破して政治家を続けるにしても、最高裁の判決が確定する時期を見据えながらの活動になってしまう。とはいえ、3期目を目指して都知事選に立候補したり、場合によっては国政に復帰したりすることも、理論上は可能というわけだ。

「元側近の証言は重い。疑惑が浮上した時点で、小池氏は政治的に責任を取る必要がある」と考える有権者も少なくないだろう。だが、有権者が小池氏に辞職を詰め寄ろうとしても、それを実現させる方策は、あまりないようだ。

「小池氏のリコールを考えてみましょう。有権者の3分の1以上の署名で解職の是非を問う住民投票を60日以内に行うことができます。ただし東京都は人口が非常に多いので、これほど大量の署名を集めることは相当に難しいと言えます。やはりリコールは現実的だとは言えません」(同・若狭氏)

 小池氏はカイロ大卒と嘘をついて都知事の座を手に入れた。ならば都知事の給与は不正な学歴詐称で取得した金と言えるはずで、この返還を求める──こんな民事訴訟も、非現実的だという。

野村沙知代氏のケース

「経歴詐称が選挙の当落にどのような影響を与えたのか、これを正しく見定めることは簡単ではありません。率直に言って2020年7月の都知事選で『カイロ大を卒業したから小池さんに投票した』という有権者は非常に少ないと考えられます。ずっと小池氏を応援しているとか、1期目の結果を見て投票した、とか、学歴のことなど考えなかった有権者のほうがはるかに多いでしょう」(同・若狭氏)

 似た事例に野村沙知代氏のケースがある。1996年の衆院選で、当時の新進党から立候補して落選した。選挙後、「コロンビア大学卒」という学歴が詐称だとされ、公職選挙法違反で告発された。最終的には不起訴となったが、後に夫の野村克也氏が取材に応じ、「あれは嘘だった」と学歴詐称を認めた。

「私は主任検事として捜査を行いました。その時に重視したのが『野村沙知代さんがコロンビア大学を卒業しているからこそ投票した』という有権者が、どれくらいの数に達したのか、という視点でした。翻って小池さんのケースでも、『カイロ大卒』の学歴が当選に与えた影響は限定的だと考えられますから、都知事の給与返還を求める訴訟を起こすことは現実的だと思えません。ちなみに沙知代さんの話に戻れば、不起訴を受けて開かれた検察審査会では『不起訴はダメ』と叱られました(笑)」(同・若狭氏)

デイリー新潮編集部

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