裏金問題で萩生田光一議員だけ“大甘処分”に旧安倍派から批判殺到 派内で囁かれている「森と岸田」の身勝手な思惑

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 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、党の政調会長を務めた萩生田光一氏に批判が集まっている。朝日新聞は4月5日の朝刊に「処分『市民感覚とズレ』 自民裏金、有権者厳しい目」との記事を掲載。萩生田氏に対する有権者の厳しい声を伝えた。

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 有権者が萩生田氏の何に怒っているのかをお伝えする前に、裏金事件における萩生田氏の問題点を改めて確認しておこう。

 萩生田氏は自民党安倍派の「5人衆」の1人という重職を担い、派閥からのキックバック──ここでは政治資金収支報告書の不記載額──は2018年からの5年間で2700万円を超えた。額の多さに誰もが驚いたが、実際に党内で3番目という巨額の裏金だったのだ。

 自民党は4日、国会議員39人に対する処分を発表した。ところが、岸田派の元会計責任者が立件されているにもかかわらず、岸田文雄首相は“無罪放免”となった。この時点で多くの有権者が強い反発を示した。

 さらに萩生田氏に対する党の処分は、8段階のうち軽いほうから3番目という「党の役職停止(1年)」だった。「これでは実質的に処分なしだ」との批判が自民党の国会議員からも殺到したが、それも当然だろう。

 他の議員に対する処分と比較してみよう。党則の処分では2番目、今回の処分の中では最も重い「除名」となった塩谷立氏の不記載額は234万円。西村康稔氏は3番目の「党員資格停止(1年)」だったが、不記載額は100万円だった。

 萩生田氏は2700万円と裏金の額が突出しているにもかかわらず、処分は極めて軽い。これが不可解であることは言うまでもないだろう。

八王子市民の怒り

 冒頭で紹介した朝日新聞の記事に戻ると、萩生田氏の地元である東京・八王子市で有権者に取材。これまで萩生田氏に投票してきたという建築作業員の男性が応じ、処分について「軽すぎる。本当は議員を辞めるべきだ」と不満を述べた。

 物価高や光熱費の高騰を受け、作業員の男性は外食や酒を減らすなど、出費を切り詰めてきたという。一方、萩生田氏は多額の裏金を作っていた。男性は「自分は好き勝手に金を動かしていたなんて、支持者への裏切りだ」と怒り心頭だ。

 萩生田氏だけ“減刑”が実施されたことについて、理解を示す政府関係者もいる。萩生田氏は「安倍派5人衆」の1人に数えられる実力者だ。しかし、裏金作りの実態を把握していた可能性の高い、安倍派の事務総長に就任したことはない。

 また安倍派は、一度はキックバックのシステムを停めた。それが22年8月など派の幹部が集まり、裏金システムの復活について話し合っている。この場に萩生田氏は出席していないことになっている。

 ただし、以上の2点だけでは、萩生田氏の処分が甘い理由の説明にはならないという。なぜ萩生田氏だけ“えこひいき”されたのか、旧安倍派の議員が言う。

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