華原朋美「芸能界にしがみつきたいとは思っていない」 自身の楽曲への“辛口評価”と今後の展望から見える意外な素顔

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記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス 華原朋美(3)

 この連載では、昭和から平成初期にかけて、たくさんの名曲を生み出したアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。

 今回は、華原朋美へのインタビュー第3弾。第1弾では、Spotify再生回数ランキングTOP3に、1990年代ミリオンヒット曲のニュー・バージョンがランクインしていること、第2弾では、さまざまなカバー曲を通して成長した姿を見せたいということを中心に語ってもらった。最終回となる今回は、TOP3以外にも人気のオリジナル曲を中心に尋ねていきたい。

(インタビュー第1弾→「華原朋美が語る『I BELIEVE』と『I’m proud』 『昔の動画を見ると、変わらなきゃという気持ちに…』」/ インタビュー第2弾→「JUJU、中山美穂、工藤静香……華原朋美が『本当に大変でした』というカバーとは 『いつかヴィジュアル系覆面バンド』という野望」)

「summer visit」は自身も太鼓判を押す1曲。中森明菜、秋元康への印象も語る

 まずは、Spotify第10位の「LOVE BRACE」と第20位の「summer visit」について。ともに250万枚以上のメガヒットとなった1stアルバム『LOVE BRACE』収録曲だが、いずれも人気なのは’13年のLiveバージョンだ。

「『summer visit』が人気なんですね!? これはものすごく愛らしい曲なんですよ! それまでのシングルは強いメッセージソングが続いたこともあり、コンサートでも『summer visit』のイントロが流れると、会場の雰囲気が和らいでくれるんです。きっと当時のプロデューサーさんも、そういった意図で作られたんじゃないでしょうか。切なくもあり、優しくもあり、さらには楽しい曲でもあるので、セットリストの中でも外せない大切な1曲ですね。こんなに聴いていただけているなんて、嬉しいです!」

 ちなみに「LOVE BRACE」のほうは、かつて中森明菜がテレビ番組『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ系)にて、全編ファルセットでカバーしたことも話題となった美しいバラードだ。

「中森明菜さんは、私より先輩の世代なので、リアルタイムではあまり知らなくて。でも、ミステリアスな雰囲気があって、お仕事でご一緒したときに少し挨拶をしただけでも、本当に素敵な方なのが伝わってきました。映画『喰女-クイメ-』のイメージソングとして、明菜さんの『難破船』をカバーしたこともあるので、いつかちゃんとお話ししてみたいですね」

 また、’00年代のオリジナル曲では、第25位の「あなたがいれば」、第26位の「涙の続き」が人気。どちらもエレガントに成長した女性のバラードという感じだ。

「『涙の続き』は秋元康さんの作詞で、過去の恋愛を引きずっているという内容がかなりダイレクトなんですが(苦笑)、こういったわかりやすい歌詞をうまく仕上げてくださるのは、さすがのヒットメーカーだと思います」

 同様に過去の恋愛を想起させる楽曲として、’06年に「あのさよならにさよならを」も発表されているが、こちらはなぜかサブスク未配信となっている。収録されているベストアルバムはCDやダウンロードで購入できるのだが、内容としては、後悔や悲しみを嘆くよりも、今後のための約束を交わそうという力強いバラードで、まさに今の華原のスタンスにピッタリな内容だ。

「この歌は私の人生を思い返すと、あまりにリアルな内容ですよね。出会いがあり、楽しい生活もあり、その後の男性運についてなど、この歌が現実とリンクしすぎて、もしかすると、ファンの方は聴くのを遠慮してしまう部分もあるのかもしれません(笑)。実際、ファンの方から応援メッセージもたくさんいただくので。でも、中島みゆきさんが本当に素晴らしい曲を書いてくださったので、コンサートなどでじっくり聴いていただけたら、前向きな部分がちゃんと伝わると思います。先日も、中島みゆきさんの『新・地上の星』をテレビで聴いて感動しました。憧れのアーティストですね」

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