大谷翔平が「嘘つき」呼ばわりされた「1号ホームランボール」騒動、メモリアルボールが異常高騰している今どきの事情

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翻訳を巡る騒動

 とはいえ、アンバーさんは「ボールを持ち帰り、大金を手にしよう」と考えていたわけではなかった。

「ドジャース側が最終的に示した返礼品は、大谷選手のサインが入った帽子、バット、ボールなど5つのアイテムでした。ちなみにこちらの値段もアスレチックが取材しており、一つ当たり1000ドルで合計5000ドル(約76万円)という査定だったそうです。アンバーさんはドジャース側の強い圧力に戸惑いながら、この“交換条件”を呑みました」(同・記者)

 1500万円と76万円の差──。ローマンさん夫婦は共に28歳で、どちらもドジャースの大ファン。大学で知り合い、同じ会社で一緒に勤務している。夫婦で球場に足を運ぶことが大好きで、来月には結婚1周年を迎えるという。

 夫のバレンズエラさんは取材に「私たちはお金に困っているわけではないし、誰かを脅そうとしたわけでもない」と憤りを示したが、これは当然だろう。

 おまけに、アスレチックがドジャースの球団広報に取材を依頼しても、広報はそれを拒否。辛うじて球団関係者が「夫婦とさらなる話し合いに応じる用意はある」とだけ答えた。

 さらに騒動は続く。試合後、大谷はホームランボールについて記者から質問されると、「戻ってファンの人と話して、いただけるということだったので」と日本語で返答。すると通訳が「I was able to talk to the fan, and I was able to get it back」と英語に訳したのだ。

「大谷は嘘つき」

 直訳すると「私はファンと話すことができたので、ボールを戻してもらうことができた」となる。大谷の日本語に主語はなく、英語では「I=私」という主語が補われた。

 英語に翻訳された大谷の回答を元に、アスレチックの記者がXに「大谷はアンバーさんと会った」と投稿した。するとアンバーさんが「せめて大谷選手に会いたいと頼んだが、球団側から拒否された」とXで否定。たちまちアメリカのSNSでは「大谷が嘘をついた」とMLBファンの怒りが殺到する事態になってしまった。

 日本のメディアは、大谷が省略した主語は「球団関係者」だった可能性があると推測。アメリカのメディアでも一部は冷静な論調が見られた。

 例えば、アメリカの三大ネットワークCBSが運営する「CBSスポーツ」は5日、「大谷翔平の第1号ホームランのボールをキャッチした女性が“スーパースターと会うことさえできなかった”と証言(Fan who caught Shohei Ohtani's first Dodgers home run says she didn't even get to meet superstar)」の記事を配信。

 CBSスポーツは日本語と英語の違いから、批判が過熱した面があると指摘した。しかし、一部の良心的な報道でも、結局は多勢に無勢のようだ。今でもアメリカのSNSでは大谷を批判する意見が目立つ。

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