ドラマ「三体」、中国版にはネトフリ版にない“奥行き”が 韓流に負けない華流サスペンスドラマ4作
3作目は「謎解き」が魅力
時系列としては最後に当たる「ロング・ナイト 沈黙的真相」では、万策尽きた時に呼ばれる老練の凄腕刑事としてイェン・リャンが登場する。
ことのおこりは2010年、有名弁護士・張超(ジャン・チャオ)が地下鉄駅で起こした爆発物騒動。だが、そのスーツケースの中身は爆発物でなく遺体だった。裁判ではジャン・チャオが自白を翻し、ふりだしに戻った捜査にいつものごとくイェン・リャンが投入される。
そんな中、新聞記者の張暁倩(ジャン・シャオチェン)のもとに「HGP」と名乗る人物から「3日ごとに写真の1/9をヒントとして送る。すべてそろえば江陽(ジャン・ヤン)を殺した真犯人がわかるはず。写真を新聞の1面に掲載しなければ爆破事故を起こす」という手紙が届く。
スーツケースの遺体=ジャン・ヤンはエリート検察官だった2003年、赴任した地方で2年前にレイプ疑惑をかけられ自殺した同級生・侯貴平(ホウ・グイピン)の再調査をしていたという。彼に相談を持ちかけたのは、同じく同級生だった当時のグイピンの恋人・李静(リー・ジン)。彼女は爆発物騒動の犯人ジャン・チャオの妻だった。そして新聞が休刊となったある日、宣言通りに爆発事件が起こり……。
2000年にグイピンが見た真実を追う、2003年の検察官ジャン・ヤン。そのジャン・ヤンが社会的に抹殺された理由を追う2010年のイェン・リャン。闇に消えた少女たち、捏造された死体検案書、姿を消した敏腕刑事、謎の爆発事故、その先に見えてくる巨悪の存在を炙り出す1枚の写真。パズルのように配置されたすべてが仕組まれた人間関係、その緻密さにはもはや参りましたというほかない。前2作にはなかった「謎解き」の醍醐味も描かれた作品だ。
映画の世界でも次々とハイレベルな作品を送り出す中国、その想像を超える世界を、この機会にぜひ堪能してもらいたい。





