桜の絶景スポット、皇居外堀の「有名カフェ」 事実上の“無許可営業“を60年超も続ける特殊事情

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千代田区の一存では何も決められない

 実はこの件、東京都議会でも議題に上ったことがある。2012(平成24)年2月に行われた第1回定例会で、とある議員が東京オリンピックを目前に控えて、外濠で実施された浚渫(しゅんせつ=水底をさらってきれいにする)工事に言及したのだ。

 そこでは「工事が滞りなく終わっていたのなら、この(民間に占用許可を出さないという)方針を再検討し、正常な許可のもとでそのまま営業を続けてきてもらうことが最も適切であったのでは」と指摘したのだ。

 対して東京都の担当技監は、「外濠がまたがる千代田・新宿・港の3区の間で、この“無許可営業と不法占拠”状態の解決について意見が統一されていない」という主旨の答弁をしている。要は千代田区の一存では何も決められないということだ。

 ともあれ、都と千代田区の方針転換から60年あまりが経過し、カナルカフェのオープンから30年近くが過ぎたいまも、どうにも尻が据わらぬこの状況が続いている。

 陸の上ならとうに決着を見ていたであろうこの一件、改めて当事者に解決に向けた取り組みについて尋ねると、前出のまちづくり総務課財産管理係は「お答えできません」と回答したが、一方の東京水上倶楽部は多忙を理由に見解は頂けず。お濠を彩る数百本の桜の開花は目前ながら、円満解決が“サクラサク”のは、まだまだ先になりそうだ。

西川修一

デイリー新潮編集部

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