大手マスコミが報じない「川勝平太・静岡県知事」辞任会見の“トンデモ発言”の数々 リニア開業の遅れを誇るかのような場面まで

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突然に飛びだした「県議会」

 まるで自分が尽力した結果、リニアの開業を10年、遅らせることに成功したと自画自賛、これを花道に知事を引退するかのような口ぶりだったのだ。

「NHKが『リニアの問題は任期途中で投げ出す理由にはならない』と当然の質問を行いました。すると川勝知事は『過去の問題発言が原因で、県議会が政局中心で動くようになってしまった。自分が辞めれば、県議会は正常化する』と説明しましたが、これも意味不明です。国民が求めているのは知事がJR東海や国と建設的な議論を積み重ね、少しでもリニア建設の遅れを取り戻すことです。県議会の正常化も、知事が胸襟を開いて県議と誠実に対話すればいいだけでしょう。別に辞職する必要はないのです」(同・記者)

 職業差別の発言を謝罪し、いたずらにリニアの工事を妨害してきたと認めての辞職なら話は分かる。だが発言は撤回もしないし、リニアの工事が遅れていることを諸手を挙げて歓迎するという会見になってしまった。意味が分かりにくい発言も目立ち、さぞかし大手マスコミは報道が難しかったに違いない。

川勝知事の罪深さ

 たとえ川勝知事が県政の現場から去るにしても、彼が残す“負の遺産”は極めて大きい。例えば、日本経済新聞(電子版)は2020年9月、「JR東海、リニア開業遅れ『年1000億円』の重荷」との記事を配信した。

「日経がアナリストの見立てなどを元に試算を行い、その結果を記事にしました。試算ではリニアの開業が遅れると、財政投融資の利払いが年250億円の負担としてのしかかり、設備関連費用、車両の研究開発費などの負担や逸失収入を合わせ、開業延期中は年1000億円の規模で利益を圧迫するそうです」(同・記者)

 日経の試算を応用すれば、今日からすぐに工事を始め、10年後の2034年に開業が間に合ったとしても、単純計算で1000億円×10年で1兆円の負担となる。

「工事に理解を示す新知事が誕生しても、実際に工事を開始するには様々なプロセスが必要です。着工が遅くなれば、それだけJR東海の負担が増えることになります。もちろんJR東海では毎年5000億円規模の営業キャッシュフローが入ってくるので、負担が原因で経営が傾く……などということはあり得ません。とはいえ、川勝知事の“反リニア”が原因で、JR東海に1兆円規模という桁違いの損失額が発生する可能性があるわけです。県のトップが、何の問題もない私企業に大損害を与えることになり、こんな知事は前代未聞でしょう」(同・記者)

三重県知事の怒り

 地元の静岡県で見込まれる経済波及効果も、川勝知事が吹っ飛ばしてしまった。国交省は昨年12月、リニア中央新幹線が大阪まで全面開業し、東海道新幹線が静岡県内の駅に停車する頻度が1・5倍となれば、経済効果は10年間で1679億円と試算した。川勝知事の方針で開業は遅れに遅れているため、静岡県が“リニアの恩恵”を受ける日は遠のくばかりだ。

「昨年11月、三重県の一見勝之知事はリニア建設促進県期成同盟会の総会で挨拶し、リニアの品川─名古屋間の開業が2027年から遅れることに触れ、『日本にどれだけ経済損失があるのか出してほしい』とJR東海に試算を求めました。もしJR東海が試算を発表すれば、その額の大半は川勝知事が原因で発生した損失です。改めて川勝知事の罪深さを実感させられます」

デイリー新潮編集部

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