視聴率は今ひとつでも…二階堂ふみ「Eye Love You」は大成功とTBSが喜ぶ理由

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相手役にチェ・ジョンヒョプ

 1月期クールのドラマでは、TBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」に大きな注目が集まったが、前例のない意欲作として注目されていた作品がある。主演の二階堂ふみと韓国のチェ・ジョンヒョプによるTBS系ドラマ「Eye Love You」だ。

 ヒロインの相手役に韓国人俳優を起用した民放GP帯の連続ドラマは今回が初めてで、「チャレンジングな企画」と評されていた。1月23日から3月26日まで放送され、平均世帯視聴率は5%から6%とほどほどの成績だったが、局内外からは「大成功だった」と放送の無事完走を喜ぶ声が上がっている。

 環境に配慮したチョコレートショップを立ち上げた主人公の侑里(二階堂)は12年前に海に転落した事故で、目が合った相手の心の声が聞こえてしまうテレパスの能力を持つようになった。心の中が分かってしまうため他人の本音に傷つくことが多く、恋愛から遠ざかる毎日を過ごしていた。

 そんな侑里が偶然出会った年下の韓国人留学生・テオ(ジョンヒョプ)は、韓国語が母語のため心の声が読めない。テオの純粋な笑顔とストレートな感情表現に新鮮さを感じて惹かれていく侑里は、戸惑いながらも1歩を踏み出していく――という純愛ストーリーだった。

 放送担当記者が感想をこう話す。

「男性が『かわいいです』『好きです』と言いながらグイグイ押してくる表情や映像のカラフル過ぎる色使いは韓国ドラマのようでしたし、侑里やテオが悩んだり回想したりするシーンにかかるBGMはNetflixで大ヒットした韓国ドラマ『梨泰院クラス』のOST『その時その子は』のメロディーそっくり。テオが侑里に『そこのキョロキョロしているかわいい人ー!』と叫ぶ赤面シーンや、侑里の指に赤い紐を巻いて切々と愛情を語るシーンもジョンヒョプが現場で出したアイデアだそうです。こうして韓国ドラマの特徴を知ることができたTBSの撮影スタッフにとって収穫は大きかったでしょう」

制作陣に韓国人スタッフ

 韓国人俳優が主要キャストとして出演した日本のドラマとしては、TBSと韓国文化放送の共同制作でウォンビン&深田恭子が出演した「フレンズ」(02年)、TBS開局50年記念の日韓共同製作連続ドラマで竹野内豊と「冬のソナタ」のチェ・ジウが共演した「輪舞曲(ロンド)」(06年)のほか、最近では日本のドラマに初主演したシム・ウンギョンのNHK総合「群青領域」(21年)、元超新星のユン・ソンモが出演したテレビ東京「駐在刑事」(23年)などがある。

 今回の「Eye Love You」はそれらとは質的な違いがあるという。というのも、TBSがスカウトした韓国人スタッフの車賢智(チャ・ヒョンジ)氏が制作陣に加わっていたからだ。同局の公式HPによると、車氏は韓国の巨大エンタメ企業集団CJ ENMでドラマやバラエティーを制作して退社。日本の慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を経て、22年にTBSに入社した。

 ジョンヒョプの起用や脚本内に登場する韓国語翻訳のほか、韓国人の恋愛ネタをリサーチし劇中に盛り込む業務も担当したという。韓国人キャスト、韓国グルメ、画面に登場する韓国の風景、韓国語のルビが入ったエンディングロール……。海外の視聴者が見たら韓国ドラマだと勘違いしそうなほど韓国化が徹底していた。

 TBSにとって、特筆すべきはNetflixでの快進撃だろう。

「何しろ世界的な大ヒット作を連発している韓国ドラマに分け入ってNetflixの韓国ランキングTOP10に2月冒頭から3月下旬まで8週連続でランクイン。日本でも9週連続、しかもマレーシアでも1週だけですが、TOP10入りするという好成績を残しました。TBSでは巨額の制作費をつぎ込んだ堺雅人主演の『VIVANT』が海外配信で大コケしただけに、同局幹部は『Eye Love You』の快挙を非常に喜んでいます」(前出の放送担当記者)

 それだけではない。「Eye Love You」には韓国ドラマが好きな一定の固定層がいるため番組の関連グッズが大人気となった。公式サイト「TBSショッピング」の「ドラマ・番組グッズ人気商品ランキング」(4月1日午前7時更新)を開くと、1位が劇中に登場した絵本のレプリカ(2600円)、2位がラッきゅんぬいぐるみキーホルダー(1600円)、3位がラッきゅん付箋(880円)、4位がガラスのラッコ リング(8500円)と「Eye Love You」の関連商品がバカ売れ状態なのだ。

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