最後は盛り上がりに欠けた「ブギウギ」 民放Pが指摘する“足りなかったこと”

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 3月29日、NHKの朝ドラ「ブギウギ」が最終回を迎えた。第109作となる本作は“ブギの女王”こと歌手の笠置シヅ子(1914~1985)がモデル。ヒロインを演じた趣里(33)の歌声も評判となり、圧巻のラストコンサートで幕を降ろした。ただし、視聴率はそれほどでもなく……。(以下、視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)

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 民放プロデューサーは言う。

「最終回の視聴率は17・2%と、全話の中で2位となる高視聴率。とはいえ、全話平均は15・9%で、前作『らんまん』の16・6%から大きく落とす物足りない結果になりました。それどころか、SNS上で“反省会”が開かれた22年前期の『ちむどんどん』(15・8%)や22年後期の『舞いあがれ!』(15・6%)をかろうじて上回ったものの、朝8時スタートとなった10年前期の『ゲゲゲの女房』以降でワースト3位。朝ドラ全作の中でもワースト6位(07年後期の「ちりとてちん」とタイ)という結果に終わりました」

 評判は決して悪くなかったのに。

「趣里の歌声や大阪弁も満点でした。本物の笠置シヅ子とは声質は異なるものの、彼女の歌声が評価されたため最終回にラストコンサートのシーンが付け加えられたのかもしれません」

 実際の笠置は、引退宣言後にラストコンサートを開催してはいない。

「ヒロインにモデルはいても、朝ドラはフィクションですからね、いい最終回だったと思います。ただ、これだけ評判が良ければ、物語が進むにつれ数字も上がるはずなのに、尻すぼみという感じでした」

 昨年10月2日の初回視聴率は16・5%と、「らんまん」の初回16・1%を上回った。

「カムカム」との違い

「初週平均の16・0%も近年では悪くありませんでした。ピークは第19週(2月5~9日)の16・5%で、ここから残りひと月半で視聴率は伸びていくと思われました。ところが、第21週(2月19~23日)で15%台に落ち、終盤の第24週(3月11~15日)と第25週(3月18~22日)も15%台。21年後期の『カムカムエヴリバディ』も同じ大阪放送局の制作ですが、初週は15・5%と史上最低クラスのスタートだったものの、週を追うごとに数字を伸ばして最終週は最高の18・6%に。平均17・1%で終えたのとは対照的です」

 なぜ終盤に数字が伸びなかったのだろう。

「脇を固めた母親役の水川あさみ(40)、父親役の柳葉敏郎(63)のほか、蒼井優(38)、富田望生(24)、そして小雪(47)も良かったのですが、その多くが前半に亡くなってしまったのは大きいでしょう。脚本の足立紳氏は、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した映画『百円の恋』や22年に放送されたドラマ『拾われた男 LOST MAN FOUND』(NHK BSプレミアム)でもわかりますが、心の機微、特に家族の悲喜こもごもをきめ細やかに描く人です」

 今回も家族がよく描かれていた。

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