新朝ドラ「虎に翼」 「演技のレッスンが本当に嫌いで…」ヒロイン・伊藤沙莉が明かした独特の演技術

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 子役出身で、その後は大小の助演をいくつもこなし、大胆なシーンも避けなかった伊藤沙莉(29)が、NHKの新連続テレビ小説「虎に翼」でヒロインを務める。仕事がない時期にはウエイトレスなどのアルバイトをしていた“おしん女優”が、デビュー21年目にして晴れ舞台に立つ。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

オファーを「どっきり番組」のネタだと

 伊藤の「虎に翼」での役柄は猪爪寅子。日本初の女性弁護士となり、やがて家庭裁判所所長に就いた。

 36年に1度訪れる「五黄の寅」だった1914(大正3)年生まれなので寅子。この年に生まれた女性は社会で活躍する人が多いとされている。ただし、読みは「とらこ」ではなく「ともこ」である。

 モデルは実際に1914年生まれで、女性初の弁護士だった三淵嘉子さん。1972年からは新潟家裁の所長を務めた。「家裁は人間を取り扱うところ。事件を扱うところではない」という名言を残したことでも知られる。

 伊藤は寅子役のオファーを受けた際、「どっきり番組」のネタだと思ったという。苦労人の伊藤らしい。

 伊藤は2歳のとき、事業に失敗した父親が家を出ていったため、塗装職人などをしていた母親、伯母、兄、姉の5人で暮らした。昨年7月4日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日)で本人が語ったところによると、「3枚の布団に5人で寝た」時期もあるという。兄がお笑いコンビ・オズワルドの伊藤俊介(34)なのは知られているとおりだ。

“ニート生活”も経験

 子役でのデビューは9歳だった2003年。11歳だった05年には天海祐希(56)が異色教師に扮した「女王の教室」(日本テレビ)で大人びた児童・田中桃を好演し、脚光を浴びる。

 そのまま女優になり、2013年の「リーガル・ハイ」(フジテレビ)などに出演するが、仕事が途絶える時期も多かった。筆者による2年半前のインタビューで伊藤は、仕事がなかった時期の自分を「ニート」と振り返った。

「子役時代からの仲間は仕事のない時期をそう言うんです。自分を卑下する意味を込めて。空いた時間の過ごし方はそれぞれ違うんですが、私はたくさんバイトしていました」(伊藤)

 職種はウエイトレスなど接客業に限定した。人間観察を行い、演技に生かすためだ。

「(観察した人の)ファイルのストックが(頭の中に)たくさん貯まりました。モノマネというわけではないのですが、演じる役がファイルの中の人に近い時は、自分にグッと引っ張ってきます。それが役を作り上げる上でのリアルになると思うんです」(伊藤)

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