活動再開のフジモン 早く地上波で観たい“至高の名人芸”とは

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「ガヤ芸人」としての活躍

 2023年10月に自動車の接触物損事故を起こして芸能活動を自粛していたFUJIWARAの藤本敏史が、今年の2月23日に活動を再開した。コンビのYouTubeチャンネルで謝罪動画を公開して、その後もさまざまな企画の動画の更新を続けると、3月23日放送の「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ系)でようやく地上波テレビへの復帰を果たした。

 藤本はもともとレギュラー番組こそ持っていなかったものの、ひな壇の片隅から声を張り上げる「ガヤ芸人」として多くのバラエティ番組で活躍を続けてきた。

 そのガヤの1つ1つが番組内で大きく取り上げられるわけではないが、よくよく聞いてみると出演者や対象物に関連する細かい情報を話していたりして、面白くて精度も高い。藤本のガヤはそれだけで1つの「芸」と呼べるレベルにある。

ガヤ芸人界の頂点のような存在

 私自身も取材でバラエティ番組の収録現場を見学した際、噂に聞いていた藤本のガヤを生で聞いたことがある。彼は、VTRが流れている間も、スタジオでトークが展開されている間も、絶え間なくガヤを入れ続けていた。あとでオンエアを確認してみると、そのほとんどは編集でカットされて使われていなかった。

 しかし、スタジオに流れ続ける彼のガヤは確実に現場の空気を温めて、番組全体の盛り上がりに貢献していた。あってもなくても成立はするが、全くないとどこか物足りない。

 ガヤというのは、バラエティ番組の盛り上がりを支える縁の下の力持ちのような存在だ。絶対に不可欠というわけではないが、制作者にとってはあると助かるものだ。

 ガヤの内容が面白ければ、MCが拾ったり、ディレクターが編集で生かしたり、テロップを入れたりすることで、それを際立たせることもできる。藤本は実質的にガヤ芸人界の頂点のような存在であり、それに並ぶ人材はほとんど見当たらない。

若い芸人とも横並びでひな壇に

 また、藤本は30年を超える長いキャリアを持つ中堅芸人であるにもかかわらず、どこか後輩からも低く見られるようなスキを残しているところがある。そういうなめられる要素があるからこそ、いまだに若い芸人やタレントとも横並びでひな壇に座ることができているのだろう。

 かつて「ひな壇芸人」の代名詞と言われていたのは、品川庄司の品川祐だった。しかし、彼は生来の嫌味っぽい性格と鼻っ柱の強さがあだになり、不人気のために仕事を減らしてしまった。

 最近では「ひな壇芸人」という言葉自体を耳にする機会もほとんどなくなったが、事実上、そこで長くトップに近いポジションにいるのは藤本だったのではないか。

 藤本は人柄が良く、真面目なイメージもあるため、当て逃げをしたというのは意外な感じがした。彼のことをよく知る芸人たちも、彼がそういうことをする性格だとは思えない、信じられない、何か事情があったのではないか、といったことを口々に語っていた。

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