「不適切」最終回は「あまちゃん」の“再演”となるのか 期待されるクドカン流大どんでん返し

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大テーマの“親子愛”

 また、22日放送の第9話では納得のいかないパワハラ騒動で1カ月の休職処分となった渚が、ごみの分別をめぐって住民とトラブルになった時、病弱の父・ゆずるがさっそうと登場。「あんたに娘の何がわかるんだ!」と割って入り、途中で何度も倒れて救急車を呼びながらも最後まで渚を守り切る姿を見せた。「父が命をかけてでも娘を守る」という分かりやすいシーンではあるが、これは娘・純子のへその緒や乳歯までを巾着袋に入れて持ち歩いている子煩悩な市郎の姿と重なっており、同ドラマの大テーマである“親子愛”と直結している。

 そうなると、95年1月17日の早朝に居酒屋を出た市郎は、ゆずると同じように体を張って純子を守ろうとするのではないか。「年をとるの、いやじゃなくなった」と未来に希望を見出した純子のこの言葉は、何を意味するのか。第1話で86年の日本に戻ってきた際、喫茶店のテーブルの上に置かれた新聞「スポーツジャパン」の発行日が「1986年1月18日」となっていた謎も最終回で回収されそうだ。

 過去を操作してしまったため未来が大きく変貌してしまったタイムスリップ作品の代表格が米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(85年~)シリーズだ。「過去を改変すると未来が変わる」とする“タイムパラドックス”が随所で描かれ、家族の経済状態や境遇が劇的に変化してしまったシーンが何度も登場した。

「不適切」では、市郎と渚が親密になりそうになると、タイムパラドックスを阻止するために、電気が走るような衝撃で2人の体は弾き飛ばされた。これは祖父と孫が関係を持つなどまさに「不適切」極まりないので当然だろう。

 そもそも、最大のパラドックス(逆説)を多くの視聴者は見逃していないか。それは95年1月17日に死去した市郎が、なぜ24年の日本で娘の夫であるゆずる、孫の渚と出会うことができるのか、という問いだ。

 第5話で市郎はゆずるから95年1月16日に撮影された家族写真を見せられ自身の運命を知ることになるが、その死の証拠までは描かれていない。となると1986年から2024年にタイムスリップした物語、といった単純な話では終わらせないクドカン流の大どんでん返しが最終回で準備されている、と予想してもよいのではないだろうか。

 それは純子の命を救うと同時に、「あまちゃん」の最終回で見られた希望の光の再演に近いかもしれない。まさに「不適切にもほどがある」と視聴者が笑顔でひざをポンとたたきたくなるような、そんな強引なラストであってほしい。最終回は29日に15分拡大して放送。

デイリー新潮編集部

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