大手事務所にいた頃とは違って…堺雅人のCMはなぜ急に増えているのか

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化粧品のCMの契約金は安い

 契約金の金額は全て俳優側とスポンサー側の個別協議で決まる。

 ランク表がつくれない理由はほかにもある。俳優側が出たいCMは契約金が安くなるからだ。その筆頭は女優が登場する化粧品のCMである。

「大手の化粧品会社のCMは出られる女優の数が限られていて、しかも制作費が高く、美しく撮ってくれるから、契約金が少しぐらい安くたって出る」(同・別の大手芸能事務所幹部)

 契約金はバラバラであり、ある程度の相場感しかない。堺クラスの一線級だとテレビCMで年間5000万円は下らないと見られている。新人クラスで同1000万円以上、中堅だと1500~3000万円以上だ。

「大物は1億円以上では」という声もあるが、これもあり得ない。バブル期と違うので、企業はそれほど広告費を使わない。また、広告予算をCMからウェブ広告に配分した影響もある。

 よく女優らのCM契約数の多さが話題になるが、芸能界側はそれをほとんど気にしない。

「必ずしも人気のバロメーターではないからです。CM予算の多くない企業は契約金が安い俳優を使いたがる。また、事務所によっては新人や若手の認知度を高める目的で、契約金額を気にせず、片っ端からCMを引き受ける」(同・別の大手芸能事務所幹部)

 やはりランク表はつくれないのである。

企業側に信用されている堺雅人

 一般的に堺のような個人事務所組はCM獲得において不利とされている。

「万が一、不祥事があった時、巨額になる違約金の支払い能力に不安があるからです。事務所に所属していると、CMの契約金からも手数料を取られる分、違約金の発生時には立て替えてくれる。ただし、弁済するわけではありません。長期の分割になろうが、支払うのはあくまで本人」(同・別の大手芸能事務所幹部)

 堺は個人事務所でもCM人気が高まるばかりだから、企業側に信用されているのだろう。

 2020年に大手芸能事務所・オスカープロモーションを離れ、個人事務所を設立した米倉涼子(48)も「楽天モバイル」など5社と契約している。個人事務所組は事務所に支払う手数料がないから、契約さえ取れたら一攫千金かと思いきや、そう単純ではない。

「個人事務所はランニングコストが月200~300万円以上かかる。オフィスを借り、経理担当者や事務員、マネージャー、運転手を雇用しなくてはなりませんから」(同・別の大手芸能事務所幹部)

 個人事務所を開いたら、その運営のため、稼がなくてはならない。やっぱりCMによる収入は欠かせないのである。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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