「友だちがいなくて、早く、明日へ行きたかった」 転校先で孤独を抱えた詩人・向坂くじらが合唱に心ひかれた理由

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転校先になじめず、仲間外れに

 国語教室ことぱ舎代表を務める詩人の向坂くじらさん。詩集『とても小さな理解のための』、エッセイ集『夫婦間における愛の適温』などで知られる彼女は小学生時代、転校生としての孤独を抱えながら、ある合唱曲に心を寄せていた。それはいったい?

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 歌っていた。友だちがいなかった。合唱をしている時間だけは、自分の声とみんなの声とがきちんと混ざる。それではじめて、「みんなとわたし」ではない、一緒くたの「みんな」になれる。歌はひとりの声ではとても出せないようなうねる力を抱え、音楽室をふわーっと上昇する。...

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