一度異論を唱えたら死んでも許さない…共産党の恐ろしい体質の根源的問題 元党幹部は「所詮はムラ社会なんです」

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 松竹伸幸氏が『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)を上梓したのは、2023年1月のことだった。松竹氏は1955年に生まれ、74年に共産党へ入党した。大学は一橋大学の経済学部に進み、全学連(全日本学生自治会総連合)の活動に邁進した。

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 全学連の活動を継続するため、経済学部を卒業すると、同じ一橋大学の社会学部に学士入学した。その後も民青(日本民主青年同盟)役員、共産党国会議員の秘書などを歴任し、党内で要職を担った。担当記者が言う。

「松竹氏は2005年、党の月刊誌に論文を寄稿し、自衛隊について論じました。ところが、内容に問題があると志位和夫氏など幹部から問題視され、松竹氏と幹部の間で議論が繰り広げられたのです。結局、『自衛隊は違憲と明記していなかった』ことは同意し、自己批判文を掲載することで決着したと思われました」

 ところが、これで終わる共産党ではない。翌06年、松竹氏は勤務していた共産党中央委員会を退職せざるを得なくなってしまう。実質的な“放逐”だが、捨てる神あれば拾う神ありという諺の通り、松竹氏に救いの手が差し伸べられた。

「京都に鈴木元氏という伝説的なベテラン党員がいました。鈴木氏が助け船を出し、松竹氏は京都のかもがわ出版に入社することになったのです。松竹氏は党と軋轢が生じたとはいえ、思想信条は変わりません。あくまで護憲派の立場からジャーナリストとして活動を開始しました。その姿勢は、文春から上梓した新書でも貫かれています」(同・記者)

失笑を買った志位氏

 松竹氏の『シン・共産党宣言』は、転向した元党員が共産党に悪罵(あくば)を並べ立てる、という内容ではない。共産党は今の日本に必要だと考えている党員が、党改革のため党首公選制、自衛隊合憲、日米安保堅持など現実路線の転換を訴えたものだ。

「いずれも説得力のある指摘ばかりです。普通の政党なら建設的な提言と受けとめられるはずです。自民党の国会議員が岸田文雄首相を真面目に批判する書籍を出版して、離党勧告が出されることはないでしょう。ところが、共産党は違いました。『党の規約違反』と一方的に松竹氏を除名したのです。さらに鈴木さんも著書の『志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って』(かもがわ出版)で党首公選を主張したことなどから、同じように除名されました」(同・記者)

 これに世論は沸騰した。朝日新聞や毎日新聞は左派の政治運動に比較的、理解を示す論調で知られている。だが、この除名騒動については猛反発。両紙とも社説で「時代にそぐわぬ異論封じ」と批判した。

 すると当時は党委員長だった志位氏は会見で「朝日に指図されるいわれはない」と食ってかかった。発言内容だけでも噴飯物だが、「産経に指図されるいわれはない」と社名を言い間違えていた。発言内容と言い間違いの両方で失笑を買ったのだ。

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