爆死扱いの永野芽郁「月9」にスポンサーは不満なし? 覆い隠せなくなった「世帯視聴率」の矛盾

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 恋愛ドラマの世帯視聴率が低く、一部で爆死扱いされている。世帯視聴率は高齢者が観ない番組は高くならないという構造的欠陥があり、若者向けの恋愛ドラマが高視聴率になるはずがない。それでも放送される理由は?(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

現在の世帯視聴率事情を読み解く

 永野芽郁(24)が主演するフジテレビの月9「君が心をくれたから」(月曜午後9時)の世帯視聴率が5~6%の間を推移していることから、一部で爆死と指摘されている。しかし、そもそもテレビ界とスポンサーは世帯視聴率を2020年4月から使っていない。個人視聴率を基準にしている。

 世帯視聴率とは「100軒の世帯のうち何割がその番組を観ていたか」というもの。ビデオリサーチ社の世帯視聴率調査のサンプル数は関東地区で2700ある。同社は社会の実情を再現しようと努めている。

 その社会の実情はどうなっているのかというと、トレンディドラマがブームだった1990年の時点では、65歳以上の高齢者のいる世帯は全体の26.9%だった。約4分の1だ。しかし、世界に類を見ない少子高齢化によって、2021年には高齢者世帯率が49.7%にまで上昇した。全体の約半分である(内閣府調べ)。

 高齢者世帯が約半数であることを念頭に置かない限り、現在の世帯視聴率事情は読み解けない。高齢者世帯が好まない番組の世帯視聴率は決して上がらないのである。テレビ界のイロハのイだ。テレビ界とスポンサーが一斉に世帯視聴率を使わなくなったのは自然な流れだった。

49歳以下が観てくれれば御の字

「君が心をくれたから」は高齢者が敬遠しがちな恋愛ドラマである。その上、心を差し出したり、あの世の案内人が出てきたりとリアリティがまるでない。ファンタジーに酔いしれやすいのは若い世代である。だから放送前から世帯視聴率は獲れないと見られていた。

 問題は現在の基準である個人視聴率が獲れているかどうか。これが獲れなかったら問答無用で爆死だ。

 2月19日のコア視聴率(13~49歳に限定した個人視聴率)は2.0%である。世帯視聴率が6.0%だった同22日放送のテレビ朝日「グレイトギフト」(木曜午後9時)のコア1.9%を超えた。同21日放送の世帯視聴率が10.5%に達したテレ朝「相棒22」(水曜午後9時)のコアの2.1%にも迫った。可もなく不可といったところである。

 スポンサーにも不満はないだろう。高齢者にも観てほしい青汁メーカーや介護用ベッドメーカーがスポンサーなら渋面になるだろうが、月9の場合はメナード、フジパン、花王、大和証券、エステー、サントリー。主に49歳以下が観てくれれば御の字のはずである。

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