「くねくねポーズやめさせて」またもや女性キャラの炎上騒動…“美少女イラストで町おこし”イベントの主催者が薦める最も効果的な「クレーム対処法」

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クレームの対処方法は「無視する」こと

 2009年、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)を著した。それから約15年、ネットユーザーが急増した結果、炎上騒動は毎日のように繰り返され、SNSでは罵詈雑言が飛び交っている。ネットは依然としてバカと暇人のものであり、むしろ状況は悪化しているようにすら思える。

 一部のクレーマーやネット住民がなぜ抗議活動に精を出すのかというと、中川氏の指摘通り「バカで暇だから」に尽きる。それでいてなぜか意識だけは高いようで、清く、正しく、美しいものを好む傾向にあり、社会のモラルを乱すものが許せないのである。もちろん、そういったクレームを言うのは自由であり、好きにすればいいと思う。

 問題は、バカと暇人であるネット住民の声を大企業までもが真に受けて、あろうことかあっさりと屈してしまう点にある。掲示物をはがし、WEBからイラストを削除する。これは由々しき問題であり、まったく感心しない。結果的にクレーマーに成功体験を与えてしまっているし、これをきっかけに増長する可能性が高いためだ。

 仮に、クレーマーの意見を聞き、三重交通がキャラクターのイメージの修正に応じたとしよう。そうしたところで、クレーマーが三重県に観光に来る可能性は限りなく低いのではないか。完全に時間の無駄であり、何のメリットもない。筆者が見る限り、“表現の自由”の問題の多くは主催者がクレームを突っぱねるか、無視すれば解決する問題ばかりである。主催者がたった1件の抗議に屈し、撤回する前例を作ってはならない。そのあとに続く関係者が委縮し、結果的に表現の自由が損なわれる結果になってしまうからだ。

2015年、クレームを受けたご当地キャラはどうなった

 三重県内のご当地キャラクターで思い出すのが、海女をモデルにした碧志摩メグである。伊勢志摩サミットが開催された2015年、キャラのビジュアルが明らかになると「胸を強調しすぎている」などと言われて炎上した経緯がある。今回の三重交通のキャラクターと同じレベルのいちゃもんであった。現在はどうなっているのかといえば、伊勢を訪れると碧志摩メグの看板が何事もなかったように土産物屋に置かれている。SNS上でも批判の声は上がらなくなっている。

 三重交通はクレーマーの声に屈せずに、キャラクターをしっかり採用し続けている。賢明な判断だと思うし、そういった姿勢を評価する声も多い。4月1日以降に名前が決まるようだが、その数か月後にはキャラクターも地域になじみ、批判の声は上がらなくなっているはずだ。繰り返すようだがクレーマーは基本的に暇なのであり、次のターゲットが見つかれば別のものを叩きに行くだろう。

 思えば、エッフェル塔も京都タワーも建設当初は批判に晒されたものだが、時間が経ったら何も言われなくなり、名物になってしまった。理不尽なクレームは「無視する」に限るし、一切、相手にする必要はない。そして、何度も言うが、主催者側も安易な批判に屈しないことが重要なのである。

山内貴範(やまうち・たかのり)
1985年、秋田県出身。「サライ」「ムー」など幅広い媒体で、建築、歴史、地方創生、科学技術などの取材・編集を行う。大学在学中に手掛けた秋田県羽後町のJAうご「美少女イラストあきたこまち」などの町おこし企画が大ヒットし、NHK「クローズアップ現代」ほか様々な番組で紹介された。商品開発やイベントの企画も多数手がけている。

デイリー新潮編集部

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