アジア杯では鈴木彩艶の経験不足が露呈…森保ジャパンのGKには誰が相応しいのか

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 日本はベスト8で終わったアジアカップ・カタール大会。イラクやイランといった強豪相手に得点力不足に加え、不安定な守備も敗因の一つに指摘された。三笘薫がケガからの回復が遅れて万全の状態ではなかったことなど考慮すべき材料もあるが、森保一監督はGK鈴木彩艶の起用にこだわり続けた。そこで改めて、日本代表のGKは誰がふさわしいか検証したい。

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 これまで日本のゴールマウスには川島永嗣が君臨してきた。彼が正GKとなったのは2010年南アフリカW杯で、翌年にカタールで開催されたアジアカップでは2大会ぶり4度目の優勝の立役者となった。しかし2年前のカタールW杯では、39歳という年齢もあり、正GKの座を権田修一に譲った。

 森保監督はチームのまとめ役を期待して川島を招集したのだろう。川島が正GKとなった南アW杯で、サブキーパーの川口能活は34歳だった。川口が南アで担った役割を、今度は川島がカタールで演じることになった。

 そして迎えた2023年、森保監督は代表選手に「J1リーグ所属」というルールを明確にした。代表の活動期間中、J1リーグはオフになるもののJ2リーグはシーズンを通して活動しているからだ。

 そこで23年の森保ジャパンは、3月24日のウルグアイ戦から11月21日のW杯アジア2次予選シリア戦まで10試合を戦った。起用されたGKは5人で、その内訳は次の通りだった。

【1】前川黛也:1試合(ミャンマー戦の81分に大迫敬介と交代出場)

【2】中村航輔:2試合(ペルー戦とトルコ戦)

【3】鈴木彩艶:2試合(チュニジア戦とシリア戦)

【4】シュミット・ダニエル:3試合(ウルグアイ戦とコロンビア戦、トルコ戦の前半アディショナルタイムに交代出場)、

【5】大迫敬介:4試合(エルサルバドル戦、ドイツ戦、カナダ戦、ミャンマー戦)

“体重90キロ”問題

 ドイツとの大一番や次回W杯ホスト国のカナダ戦、W杯予選初戦のミャンマー戦といった起用法からも、正GKに最も近いのは大迫とみて間違いないだろう。

 しかし大迫は昨年12月8日に右手舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折の手術を受けて全治2か月と診断されたため、元旦のタイ戦はもちろんアジアカップも出場が不可能になった。

 代わってタイ戦とアジアカップに招集されたのが、鈴木彩艶(出場4試合)と神戸のJ1リーグ初優勝に貢献し、前年11月16日のミャンマー戦で交代出場から代表デビューを飾った前川(同1試合)、野澤大志ブランドン(同0試合)の3人だった。

 過去の実績といっても、鈴木の4試合が最多では比較しようもないが、彼と野澤には別の武器があった。それは「体重」だと、GKの経験がある関係者が教えてくれた。

 鈴木は身長190センチ、体重98キロ、野澤は身長193センチ、体重90キロと、2人とも体重は90キロを超えている。

 GKは空中のボールをキャッチする際に無防備状態になりやすい。この競り合いの時に威力を発揮するのが重さであり筋力の強さで、それは体重に比例するそうだ。屈強なFWとの競り合いでも、弾き飛ばされることなく正確にキャッチできる利点がある。

 シュミット・ダニエルは身長197センチと最長身だが、体重は88キロしかない。今回のアジアカップのメンバーでも、CB町田浩樹は身長190センチながら体重は84キロ止まり。日本人で体重90キロを超えるサッカー選手はなかなかいないのが実情だ(ちなみに、ドジャースの大谷翔平は身長193センチ、体重95・3キロ)。

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