外国人の男女が日本で結婚すると得られる「家族滞在ビザ」の知られざる実態 「日本の男と我慢して交際しなくていい」という声も

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 外国人との恋愛や国際結婚には、昔から「相手はビザが欲しいだけ」とか「偽装結婚」といった偏見が根強い。一時期、日本に出稼ぎに来る外国人たちの間では、就労制限が緩い「日本人配偶者等」の在留資格が人気だった(藤原良 作家・ノンフィクションライター)。

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 日本人と結婚した外国人に与えられる在留資格は、日本人と同様の就労が認められ、ほぼ制限なく自由に仕事をすることができる。つまり、他の在留資格よりも多く稼げるわけだ。

 だが、日本人と結婚することは、そう簡単ではない。近年は「ネット系ハニートラップ詐欺」が話題を集めているが、インターネットのない時代から外国人は日本人を騙して見せかけの結婚をしたり、違法ブローカーに数十万円の仲介料を支払って偽装結婚に手を染めたりしてきた。

 ちなみに警察庁によると、現在でも偽装結婚は全国で年400件前後の検挙数に達しているという。このため外国人から求婚されると、かなりの日本人が疑いの眼差しで見てしまう。ところが、実は昨今、外国人たちに変化が見受けられるのだ。

 これまで日本に来た外国人は入管法に詳しくなかった。「とにかく日本人と結婚するしか方法がない」と勝手に思い込んでいた。

 しかし、日本に住む外国人が増加し、様々な情報を蓄積、それを外国人コミュニティなどで共有していったことで、他にも方法があると気づいたのだ。それは「外国人同士で結婚をしても在留資格が得られる」という事実だった。

「日本人と結婚しなくていい」

 その在留資格を「家族滞在」という。これは、日本の滞在資格を持つ外国人の労働者や留学生と結婚すると、その外国人の夫や妻、子供も被扶養者として日本に在留できる資格である。

 具体的に言えば、在留資格を持つイラン人男性と、資格を持たないルーマニア人女性が結婚すると、ルーマニア人女性は家族滞在の資格を得ることができる。二人は夫婦として日本に住めるのだ。家族滞在の在留期間は5年を超えない範囲とされてはいるが、更新は随時可能だ。

 家族滞在の制度を利用することで、「日本人と無理矢理に結婚しなくても日本に住める」ことを知った外国人たちは、これまで以上に大きな解放感を味わっているという。

 ルーマニア人女性のエマさんは在留資格を得るため、これまで数人の日本人男性と交際してきた。だが「日本の男は優柔不断で性的魅力もゼロ」というのが本音で、「家族滞在資格のおかげで、もう日本の男と我慢してつき合わなくてもいいからとてもよかったです」と喜ぶ。

 エマさんの友人のアデリナさんも「外国人の男のほうが合っている」と率直に打ち明ける。彼女は現在、エンジニアとして日本で働き、滞在資格も持つインド人男性と交際しているそうだ。

 中国人女性のスーシャンさんは「もう日本の男はカネがないでしょ。日本でお金持ちのヨーロッパ人男性と結婚すればいいのよ」と話す。実際、スーシャンさんは東京都内でヨーロッパ人男性と結婚して暮らしている。

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