参院「手書き速記」が134年の歴史に幕 速記者は「一抹の寂しさが」

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速記者の間でも謎な半紙使用の理由

 手書き速記者たちが使用するのは、シャープペンシルと書道用の半紙だ。

「シャープペンは、入所の際に配付された製図用を使ってきました。芯の種類は人それぞれですが、私はB。これより硬いと芯が紙に引っかかって、破けてしまうことがあるからです」

 半紙が用いられる理由は速記者の間でも謎だという。

「養成所の頃から半紙をノート状にとじたものが配られていたので、とくに疑問も持たずに使ってきました。ただ、速記の際は紙と机の段差が小さいほど書きやすいので、あの薄さが重宝されてきたのかもしれません。出場の際に“これくらいかな”と、使う量を用意するのですが、予想より議事が込み入った時は足りなくなって、やむなく紙の裏側を使ったことも。あの時はちょっと焦りましたね」

衆院では手書き速記が継続

 現在、海内さんたちは議場をモニターで見守りつつ、タイピング入力で会議録の作成や編集に励んでいる。

「手書きからキーボード入力に変わりましたが、いまも正確な会議録作りに努めています。国会でどのような審議が行われたかを後世に伝える大切なものですから、今後もしっかり職責を果たしていきたい」

 一方、衆議院では今後も手書きによる速記が続く。

「平成23年から音声文字起こしソフトなどの利用も始まっていますが、正確な会議録の作成のため、今後も手書き速記者の出場は継続されます」(衆議院広報)

 長らく参議院を支えた技術とその精神は、形を変えながら受け継がれていく。

週刊新潮 2024年2月15日号掲載

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