韓国でいまも燻る“有名俳優の自死”をめぐる火種 警察とユーチューバーに怒りの矛先が

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 ひとりの俳優の死が、昨年末から韓国社会を騒がせている。映画『パラサイト 半地下の家族』の出演で知られるイ・ソンギュン(享年48)だ。長年の下積み生活を経て、2001年にMBCテレビの人気シチュエーション・コメディ番組にカメオ出演でデビュー。その後、出演作が次々とヒットし、俳優としての地位を確立した。2019年の『パラサイト』では、カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞し、世界的な名声も得ていた。

 発端は、昨年10月にあるメディアが「有名俳優A氏の麻薬投薬疑惑を警察が捜査中」と報じたことだった。後を追った多数のメディアが“A氏”の正体を探り、結果それがイ・ソンギュンだったのだ。

 ソウルのとあるスナックの女性従業員Kが、麻薬使用の疑いで逮捕。その際、彼女は、共に麻薬を使用したり提供した人物のリストを警察に提出し、その中にイ・ソンギュンなど多くの有名人の名前があったというわけである。

 捜査線上にあがったイ・ソンギュンは、取り調べ当初から「麻薬の入っている酒を気づかず飲んだ」と弁明し、麻薬の使用疑惑を否認していた。反応検査も陰性だった。むしろ、Kらスナック関係者から麻薬使用に関して脅迫を受け、3億ウォン(約3300万円)を脅し取られたとして、Kを告訴した。

 2度目の検査でも、体内からは麻薬成分が検出されなかった。しかし、Kらを告訴した件での取り調べを受けた後、昨年12月27日にイ・ソンギュンは自ら命を絶ってしまったのだ。

“共犯者”の存在も明らかに

 ところがその後、新たな事実が次々に明らかになってきている。まず、イ・ソンギュンを脅迫したのはKだけではなかった。元女優のPも共に彼を脅迫し、受け取った金を分け合っていたという。彼女も最近、イ・ソンギュンを脅迫した容疑で拘束された。

 警察の捜査によると、KとPは、ともに過去に覚せい剤や大麻を使用した罪での逮捕歴があり、刑務所で知り合った間柄だった。しかしその後、関係が悪化し、PがKの麻薬使用などを警察にリークした。その際には、入手したKの髪を警察に提出もしている。

 Pの過去は、ユーチューバーによって次々に暴露されている。もともと無名の女優だったPは、昨年1月頃に出産。当時交際していた男性に「あなたの子だ」と伝え、数千万ウォンを養育費などとして受け取っていた。ところが、そうした話を持ち掛けられた男性は複数人おり、子の父親が彼らではなかったことが明らかに。詐欺の疑いですでに告訴された。警察に出頭する際には、赤ん坊を連れ世間の同情も買おうとした。しかし、結局は拘束され、逆に市民団体から児童虐待で告発された。

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