藤井聡太八冠がタイトル20連覇 本人が「伝説上の方のイメージ」と語る大名人の棋風に似てきた

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 2月8日、東京都立川市のレストラン「オーベルジュときと」で行われた将棋の王将戦七番勝負(主催:毎日新聞社、スポーツニッポン社)の第4局は、藤井聡太八冠(21)が挑戦者の菅井竜也八段(31)を破り、開幕から4連勝で3連覇した。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

動けないところに打った飛車

 勝った藤井は第4局を振り返り「(振り飛車との対局は)居飛車同士と比べ、中盤が長い将棋になりやすく、今回もそういう展開が多かった。長い持ち時間でじっくり考えられたのはいい経験になった。(タイトル戦20連勝については)意識していなかった」と語った。菅井は「1日目から苦しくなることが多かったので、自分の研究不足が結果に出たと思う」と振り返った。

 先手の藤井が早々に「2二角成」と角交換に行くが、菅井はこれを飛車で取り、一時は「向かい飛車」のような形に。その後、菅井は飛車を3筋、4筋と目まぐるしく「振り変え」る。両者、打ち込んだ角を馬とし、序盤から大ゴマが激しく動く展開になった。

 そして4筋で飛車が睨み合った状態で、菅井は1時間35分という今シリーズの最長時間をかけて40手目を封じた。2日目の朝、立会人の中村修九段(61)が開いた封じ手は多くの予想通り、睨み合っていた飛車を取る「4八飛成」だった。

解説者は「まねしちゃだめですよ」

 だが、2日目はここから徐々に差が開いてゆく。藤井は85手目、自陣「2九」に竜を引く。馬も自陣にも効いていて、菅井はなかなか飛車の打ち込みどころがない。

 121手目に藤井が「2二竜」とすると、菅井は潔く投了。午後5時52分だった。ここから菅井玉が詰むまでは20手以上はかかるはずだが、菅井は反撃の余地はないと見た。

 貞升南女流二段とともに大盤解説を担当した戸辺誠七段(37)は、藤井の57手目、「1六飛打」を「すごい手です」と絶賛した。あえて動ける範囲が狭い場所(前に1マス、左に1マスの2カ所しか動けない)に飛車を打ったのだ。

 1筋の歩を突かれれば、飛車が死ぬ可能性が高い。菅井は、2六に飛車を打ち、藤井がこれを同飛車と取るが、3手後に「3一金」と菅井は金を引かざるを得なくなる。事実そのように進んだ。戸辺七段は会場で「1六飛」の打ち込みについて「これは皆さん、まねしちゃだめですよ。飛車がすぐ死んでしまうから」とも助言していた。動けないはずのところへ飛車を打たれた菅井には誤算だったのだろう。藤井の慧眼だった。

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