ロシア軍輸送機墜落のミステリー ウクライナ軍の誤射説が有力、そこから浮かび上がる戦況

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トランプ再選問題

 根源的な問題として、なぜウクライナは輸送機を攻撃したのかという点は見逃せない。

「もしクリミア半島の奪還を目指し、ウクライナ軍が南部に快進撃を続けていたとしたら、こんな攻撃は行っていないはずです。すでにウクライナ軍は進撃を諦め、防衛を最優先にしています。その結果、ロシア軍も体力を回復しつつあります。二国の軍事力を考えれば、今やウクライナが不利です。NATO(北大西洋条約機構)諸国の間には支援疲れが蔓延し、ウクライナ軍が大量に消費する155ミリ榴弾砲の弾も枯渇しているほどです」(同・軍事ジャーナリスト)

 結果、ウクライナ軍は戦術を切り替えている。自国で開発できる長距離ドローンを大量に生産し、ロシア国内の軍需工場などを攻撃しているのだ。

「経済封鎖に抜け穴があるのか、あるいは、ガス輸出国は資金が枯渇しないのか、いまだにロシアの軍需産業は稼働しています。そのためウクライナはドローンで工場を破壊しようとしているのです。長期戦が現実味を帯びる中、ウクライナには打つ手がなくなっていると見ることもできます。さらに今年の10月はアメリカ大統領選が行われ、トランプ氏が勝利する可能性も浮上しています。彼が再び当選すれば、ウクライナ支援が大幅にカットされるかもしれません。ヨーロッパのNATO加盟国もこうした状況から、ロシアとウクライナに停戦交渉を持ちかけてもおかしくない状況です」(同・軍事ジャーナリスト)

註1:ウクライナ捕虜65人乗せた輸送機が墜落 ロシアは「ウクライナ人の命もてあそんでいる」とゼレンスキー氏(BBC NEWS JAPAN:1月25日)

註2:ロシア軍輸送機墜落で国連安保理緊急会合 ウクライナは国際機関の現地調査を要請(テレ朝news・1月25日)

デイリー新潮編集部

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