「日本の避難所は“ソマリアの難民キャンプよりひどい”」 世界から指摘されても、なぜ整備が進まないのか

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 236名の命を奪うなど、甚大な被害をもたらした能登半島地震。家を失い、財産を失い……塗炭の苦しみを味わう被災者をまた別の恐怖が襲っている。密な生活ゆえか、避難所では種々のウイルスが人々を悩ませているのだ。

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 石川県内で開設されている避難所は現在、約450カ所。被害が甚大な輪島市には94カ所が残る。

 そのひとつ「ふれあい健康センター」で暮らす明田元文さん(73)に聞くと、

「ここは3階建てで、みんなそれぞれのフロアで床の上に段ボールや毛布やマットを敷いて雑魚寝をしている。仕切りもないよ。食べ物は朝昼晩支給。1日2回、炊き出しがあって、それ以外はパンと緊急用のビスケットを食べているね」

「吐いた物が肺に入ってしまったり…」

 輪島市ではほぼ全域で24時間断水状態が続く。

「飲み水はペットボトルで、トイレは簡易トイレ。便器に袋を取り付けて、凝固剤で固めてくくって捨てる。今は仮設トイレもできた。風呂は10日後くらいに簡易シャワーが来てうれしかったな」

 こうした衛生環境のためか、県の発表によれば避難所で多い時にはインフルエンザなど急性呼吸器感染症で1日160名超、消化器系感染症でも40名以上が、医療支援チームの診察を受けているというのだ。

 明田さんが言う。

「ここにいたうちの嫁はんも加賀の病院に入院しとんねん。コロナにかかったみたい。それにノロウイルスかわからへんけど、下痢とか吐いた物が肺に入ってしまったりとか。あと、腸が詰まって腸閉塞みたいになってしまってね」

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