WHOが恐れる「疾病X」の出現 阻止するための有効策とは

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「中国政府提供のデータは信頼できない」

 世界が新型コロナウイルスの出現を認識してから今年1月で4年が経過した。

 思い起こせば、2020年1月11日、中国当局が世界保健機関(WHO)に新型コロナウイルスの存在を初めて知らせたのがその始まりだった。だが、この定説が崩れつつある。中国国内の研究者が2019年末までに新型コロナウイルスを特定し、ゲノム(全遺伝情報)の解析を終えていた疑惑が出てきたからだ。

 このことを指摘したのは、米国連邦下院エネルギー・商業(E&C)委員会だ。

 E&C委員会が17日に公表したコロナ発生起源に関する調査報告によれば、中国政府系の病原生物学研究所に所属するウイルス研究者が2019年12月28日、新型コロナウイルスのゲノム情報を米国立衛生研究所(NIH)傘下の遺伝子配列データベース「GenBank」に提出していた。提出されたゲノム情報は後に公式発表されたものとほぼ同じだったという。

 キャシー・マクモリス・ロジャースE&C委員長が「この重要な発見は、中国共産党が提供するいわゆる『事実』やデータが信頼できない理由を明示し、そうした情報に基づく科学理論の正当性に重大な疑問を投げかけている」と述べたように、新型コロナウイルスの起源に関する議論が再び活発化する可能性が生じている。

次は「疾病X」がやってくる?

 新型コロナウイルスの起源は、コウモリなど野生動物から人間に伝染した(自然発生説)のか、研究所から流出した(研究所流出説)のかが明らかになっていない。WHOを始め多くの研究者たちは研究所流出説に傾き始めているが、中国政府が情報提供に後ろ向きであることが災いして、最終的な結論を得られていないのが実情だ。

 感染力の強い新型コロナウイルスは相変わらず猛威を振るっているものの、有効なワクチンや治療薬が普及したことで、ようやく一定の落ち着きを取り戻した感もある。だが、WHOは「『疾病X』によって次のパンデミックがいつ起きてもおかしくない」と警戒している。

 疾病XとはWHOが使用している代名詞で、医学的に未知の病原体による世界規模の流行病を指す。今回の疾病Xは最悪の場合、世界全体の犠牲者数は新型コロナウイルスの2倍以上に相当する5000万人超に達する可能性があるという。

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