“別班”以外にも自衛隊に「秘密部隊」があった! 衝撃レポ…「妻帯者、家族持ちはゼロ」「ロシアの無線を傍受する“謎の部隊”が」

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「住所不定」の組織

 彼女から話を聞くことを繰り返す中で、私は、彼がメンバーを務める秘密部隊というのは創設されたばかりの特戦群とは違うのか、尋ねてみた。一般市民に交じって繁華街で訓練を行ったり米軍特殊部隊と訓練するなど似通っている点は多いし、いくら秘密部隊といっても、そう幾つも存在するだろうか。だが彼女は、彼から聞いている話として、特戦群とは違うときっぱり否定した。特戦群は自衛隊唯一のパラシュート部隊として知られる第1空挺団と同じ、千葉の習志野駐屯地にベースを構えているが、彼のコンバットチームは特定の本拠地を持たない、「住所不定」なのだという。言い方は悪いが、「根なし草」なのである。その分、秘匿性が保てるし、変幻自在ということだろうか。

 さらに特戦群が空挺団と同様に、部隊の中核を若手、ベテランの陸曹といった、いわゆる下士官が担っているのに対して、彼のコンバットチームはたたき上げの選りすぐりの幹部だけで構成された、少数精鋭。小回りが利き機動力に優れているということは、単独行動から小規模編成での作戦までさまざまな特殊任務に臨機応変に対処できるということでもあるのだろう。

肉親と縁の薄い隊員たち

 そしてこの秘密部隊にまつわる話の中で、私がいちばん驚かされたのは、メンバーに、妻帯者や家族持ちがひとりもいないということだった。単に独り身なのではない。両親をすでに亡くしているとか、兄弟はもとより行き来のある親戚もいないとか、なぜか係累の少ない隊員ばかりなのだという。派遣先で隊員の身に何かあった時のことを想定して、のちのち面倒にならないように、あえてそうした肉親と縁の薄い隊員を選んだのではと、つい想像をたくましくしてしまう。

 彼女へのインタビューに同席した先輩は、話に出てきた自衛官の「実家」がある地方都市の支局にすぐに手配をして、支局の記者にそれとなく周辺を当たってもらった。すると彼女の話は本当だった。自衛官の実家は商店を営んでいたが、両親はすでに他界し、店を畳んだ今は、親戚の人がたまに様子を見にやってくるだけだという。

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