「今回の地震は中・長期的な前兆現象」 首都直下地震、南海トラフ地震との関係は…専門家が警鐘

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太平洋プレートが…

 こうして起きた巨大地震。そこで気になるのは、30年以内に70%以上の確率で起こるとされる、首都直下地震や南海トラフ地震との関連である。とりわけ後者の死者は最大で30万人以上に及ぶといわれている。

 西村教授は、

「関連性は薄いと思います。南海トラフも首都直下も能登半島とは震源域がかなり離れていますから」

 と言う。

 一方で、

「私は今回の地震の根本は、南海トラフの前段階のストレスがたまり、その一部が現れたものとみています」

 とは、立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授だ。

「北米プレートがユーラシアプレートを押すのは、その東にある太平洋プレートに押されているから。つまり太平洋プレートが動きを活発化させているのです。太平洋プレートは同時にその西にあるフィリピン海プレートも押している。フィリピン海プレートとその北のユーラシアプレートの接する地点が南海トラフです」

「中・長期的な前兆現象」

 同じく首都直下地震も太平洋プレートの動きによって引き起こされる地震であると高橋氏は言い、

「今回の能登半島地震が知らしめたのはその太平洋プレートの活発な動きぶりです」(同)

 地震予知に詳しい東海大学・静岡県立大学客員教授の長尾年恭氏はこんな意見だ。

「過去の周期からみると、南海トラフ地震は2030~40年の間に起こる可能性が高いといわれていますが、その後に振り返った時に、今回の地震は中・長期的な前兆現象と指摘されるかもしれません」

 なぜなら、

「これまでの南海トラフ地震では、発生の30~40年ほど前から日本列島の内陸部で地震活動が活発化してきていた。翻ってみると、この数十年、日本で内陸での活断層型地震が増えてきたのは1995年の阪神・淡路大震災から。今回の地震も前兆としての活発化のひとつといえる可能性があります」

 前回の南海トラフ地震は約80年前。身近にできるより一層の“備え”が必要なのは間違いなさそうだ。

週刊新潮 2024年1月18日号掲載

特集「孤絶『震源地』 徹底取材『能登大地震』の“生と死”」より

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