JAL機炎上事故で逮捕者は出る? 専門家は「捜査に1年以上かかる可能性も」

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ヒューマンエラーの疑い

 他方、離着陸を監視する管制官にも、ヒューマンエラーの疑いが浮上している。社会部デスクが言う。

「羽田の管制塔には14~15人の管制官がおり、当日のC滑走路は滑走路担当と誘導路担当の二人がメインで対応していた。これをサポートするため、機体が滑走路に誤進入するとモニター上で赤く表示され、滑走路も黄色く点滅する『滑走路占有監視支援機能』というシステムがあり、当日も稼働していました。それでも、指示を誤認して約40秒間にわたり滑走路上で待機していた海保機に、管制官は気付かなかった。つまりは見落としていたとみられるのです」

 国交省航空局に聞くと、

「一人の管制官が一度に複数機を担当しているため、常時、目視して確認するのは難しい。物理的にできない部分もあり、ルールは作られていません」

 が、元JAL機長で航空評論家の小林宏之氏は、こう指摘するのだ。

「今回の管制官は海保機に対し、滑走路の停止位置まで進入するよう伝えながらも、飛行する他機も監視しなくてはならなかった。せっかくの滑走路占有監視支援機能が役に立たなかったわけです。国交省は6日から、この機能を監視する人員を新たに配置しましたが、この態勢なら事故は防げていたと思います」

捜査の行方は

 事故原因の究明を目指す運輸安全委員会の調査と並行し、警視庁は東京空港署に特別捜査本部を設置。捜査1課の特殊犯捜査係を中心に業務上過失致死傷容疑を視野に捜査を進めている。

「海保機・JAL機の双方から回収したフライトレコーダーとボイスレコーダーの解析など、運輸安全委員会の調査を待つ形になりますが、一番の原因は海保機の誤進入。そしてそれを止められず、JAL機にゴーアラウンド(着陸復行)を指示できなかった管制官にも非があると捜査本部はみている。あとに着陸を控えていた別のJAL機に気を取られて海保機を見ていなかった、との見立てで捜査は進められています」(前出デスク)

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