能登地震発生時に「危機管理のトップが入院、不在」が呼ぶ不審と憶測

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いずれも警察キャリア出身

 石川県能登地方を震源とする地震への対応をめぐって、村田隆内閣危機管理監が入院中を理由に一時官邸に出勤していなかったことが震災の翌日に報じられた。1月3日には復帰し、岸田文雄首相との会議をこなしているとはいえ、この入院が憶測を呼んでいる。

 内閣危機管理監は文字通り危機管理を統率する立場として、1998年から内閣官房に置かれた官職である。過去9人の危機管理監はいずれも警察キャリア出身で7人が警視総監、2人が警察庁警備局長の経験者だ。

「安倍・菅政権で長らく内閣官房副長官を務めた杉田和博氏も警察庁警備局長と内閣情報官を経て、危機管理監を務めました。警備のプロが任命されると言って間違いないでしょう」

 と、社会部デスク。

 2022年1月から危機管理監に就任した現職の村田氏。その経歴を少しおさらいしておこう。

 入庁は1984年。大阪府警刑事部長、沖縄県警本部長、警察庁警備局警備企画課長、警視庁刑事部長、警察庁長官官房総括審議官、大阪府警本部長、警察庁警備局長を歴任して退官。フィンランド大使を務めた後、危機管理監となった。

警備局長からフィンランド大使

「村田氏は警視総監の目もないわけではなく、本人も当然望んでいたようですが、警備局長で退官となりました。ちなみに警備局長の先代は松本光弘氏ですが、その後、警察庁長官官房長→警察庁次長→警察庁長官を務め、後任の大石吉彦氏は警視総監となっています。さらに国会対応を担う総括審議官の前任の沖田芳樹氏と後任の斉藤実氏はいずれも警視総監を務めました」(同)

 警視総監や警察庁長官とはいかなかったものの、当時の長官で今も警察の人事をコントロールする栗生俊一内閣官房副長官の差配でフィンランド大使のポストが用意されたとのことだ。こうした差配は村田氏に限ったことではない。

「警察OBからは“フィンランド大使はなかなかの厚遇。栗生氏も気を遣ったのだろう”と言われていましたね」(同)

 警察キャリアの場合、他の省庁よりもさらに綿密に「キャリア・プラン」が検討されるのだという。

「民間企業において警察の息のかかったポストは本当に多く、ほとんどが“玉突き”人事。ですから退官がまだまだ先の段階でも、どの企業に誰を再就職させるかといったことは、誰を警察内のポストに就けるかということと同等に検討されることになります」(同)

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