巨人を救うのは育成出身の右腕か…セ・リーグ、2024年“ブレイク候補”を大予想!

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阪神、制球力の高さで注目の“サウスポー”とは

 毎年、新星が現れるプロ野球界。2023年に驚きの活躍を見せた選手といえば、両リーグの新人王に輝いた阪神・村上頌樹とオリックス・山下舜平大だろう。ともに、22年までは一軍未勝利ながら、先発投手陣の柱となると、村上は10勝6敗、防御率1.75、山下は9勝3敗、防御率1.61という見事な成績を残し、チームのリーグ優勝に大きく貢献した。2024年は、大きな飛躍を遂げる可能性を秘めた選手はいるだろうか。全球団から1人ずつを厳選してピックアップしてみたい。なお、対象は2023年10月のドラフト会議で指名されたルーキー以外で、新人王の資格を有している選手とした。今回はセ・リーグ編である。【西尾典文/野球ライター】

 セ・リーグ連覇を狙う阪神。投手も野手も若手に注目株が多く、1人に絞るのは難しいが、サウスポーの富田蓮(22年6位)を挙げたい。

 ルーキーイヤーの23年は、開幕2戦目にリリーフで1回を無失点に抑えていきなりプロ初勝利をマークした。一軍での目立った活躍はこれだけだったが、二軍では先発として経験を積み、14試合の登板で5勝2敗、防御率1.77という好成績を残している。ストレートは140キロ台前半から中盤と驚くようなスピードがあるわけではないが、あらゆる球種でカウントをとれる制球力の高さが光る。

 特に、スライダー、チェンジアップと対になるボールで空振りを奪えるところが、大きな魅力だ。伊藤将司、大竹耕太郎に続く左の先発候補には、同期入団で高卒の門別啓人も評価が高いものの、富田は社会人出身で、年齢も3学年上であり、意地を見せたい。

西川龍馬の退団がチャンスとなるか

 続いて、2位の広島は、フリー・エージェント(FA)でオリックスに移籍した西川龍馬の穴が大きな課題となる。それを埋める外野手として、田村俊介(21年4位)に期待したい。

 愛工大名電時代は1年夏から背番号1を背負った。学年が上がるにつれて、打撃での評価が高くなり、外野手として入団した。他球団の東海地区担当スカウトからは、「打撃に関しては本当に職人的な選手。高い打率を残しながらホームランも打てる選手になる可能性は高いと思います」と高い評価を受けていた。

 2年目となった23年は、開幕一軍を経験。すぐに登録抹消となるも、夏場に再び一軍昇格を果たした。10試合の出場でありながら、22打数8安打、打率.364と結果を残した。

 高校時代からたくましい体格で、プロ入り後に体が一回り大きくなり、スイングの安定感が増した印象を受けている。パンチ力も十分だ。体の軸がぶれず、広角に鋭い当たりを放つスタイルは、広島の大先輩である、前田智徳を彷彿とさせる。西川の退団は、田村にとっては大きなチャンスで、一気にレギュラー獲得を目指したい。

 3位のDeNAは、どうだろうか。エースの今永昇太がメジャーに移籍するなど、投手陣の底上げは大きな課題になっているなか、“ドラ1高卒右腕”の小園健太(21年1位)が台頭することを期待したい。

 プロ1年目の22年は体力作りに注力して、二軍では3試合(0勝0敗)の登板に終わった。関係者からは、「実戦から離れすぎたことで、ピッチングの感覚がずれているのではないか」と懸念する声も出ていた。23年もまた、二軍で2勝5敗、防御率4.21と目立った成績を残せなかった一方で、チーム2位となるイニング数(83回1/3)を投げて、着実に経験を積んでいる。

 そして、同年11月25日から台湾で行われた「アジアウインターリーグ」では、4試合で2勝0敗、防御率1.42と見事なピッチングを披露した。もともとフォームの良さと制球力の高さは、市立和歌山時代から定評があり、ウインターリーグの登板を見る限り、ストレートの勢いも出てきたようだ。24年は、開幕からローテーション争いに加わることを期待したい。

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