お茶は「最先端の健康飲料」だった! がんの成長、転移を予防…日本茶に豊富な成分「テアニン」とは

ドクター新潮 ライフ

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緑茶を5杯以上飲むと驚きの効果が

 ポリフェノールはほぼ全ての植物に含まれる成分で、赤ワインやブルーベリーに含まれるアントシアニン、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などが知られている。だが、お茶の中でも緑茶に多く含まれる「エピガロカテキンガレート」というカテキンは数あるポリフェノールの中でも抗酸化力が非常に高く、その値は、クロロゲン酸の数倍ともいわれる。実は、この抗酸化作用こそ、お茶を「健康飲料」たらしめる一番の立役者なのだ。

「人間は酸素を取り込みながら生きていますが、これが体内で変化した活性酸素はかなり厄介。活性酸素は簡単に言うと、人間の細胞を酸化させさびつかせてしまいます。老化や動脈硬化、さらにはがんも、もともとはこの活性酸素が原因。逆に言えば活性酸素から身を守ることができれば健康寿命をさらに延ばすことも理屈の上では可能。お茶に含まれるカテキンの抗酸化作用には、この活性酸素を取り除く力があるのです」(同)

 実際、2015年に国立がん研究センターが発表した研究結果によれば、1日に緑茶を5杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べて、男性で13%、女性は17%も死亡リスクが減少することが分かっている。

大腸がんを予防する効果

 さらに疾患別に見れば、女性では心疾患の死亡リスクが約4割、男性では脳血管疾患が約2割下がったというから、その実力は折り紙付きである。

「こうした血管に関連する病気の死亡リスクが下がったのは、血管の壁が硬くなることで起こる動脈硬化を、カテキンのもつ抗酸化力によって防ぐことができるからでしょう。さらに、カテキンには血管にこびりついた脂肪を溶かし、血の巡りを良くする作用もありますからね」(同)

 また同調査では、緑茶に肺炎などの呼吸器系疾患の死亡リスクを下げる効果があることも指摘されている。

 秋津医院院長の秋津壽男医師によれば、

「心臓が悪くなると血液の循環も悪くなり、肺機能も低下してしまいます。おそらく、カテキンによって心臓の血管の状態が健康に保たれ、結果として肺機能が維持されて肺炎などの死亡リスクが下がったのではないでしょうか」

 カテキンの実力は心血管系疾患や呼吸器系疾患だけにとどまらない。理論上、「大腸がん」を予防する効果も期待できるのだという。

 秋津氏が続ける。

「私たちの腸内で悪玉菌が増えると、食べ物を分解したときに活性酸素が多く発生します。この活性酸素が腸内を傷つけ、ひいては大腸がんの原因になるのです。ただ、コーヒーに含まれるポリフェノール『クロロゲン酸』には、大腸内の悪玉菌を減らし、活性酸素を中和させて大腸がんを予防する効果があると指摘されている。いまだお茶でその効果を証明した研究はありませんが、カテキンもクロロゲン酸と同じポリフェノール。原理的にはお茶を飲んでも同様の効果が得られるものと考えられます」

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