「自分に合ったヨーグルトの選び方は?」「納豆はマルチプレーヤー」 プロが教える腸内細菌の生かし方

ドクター新潮 ライフ

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 世には常識が溢れているが、よく考えてみるとどうして常識となったのか、はっきりしないこともある。納豆とヨーグルトはお腹に良い。「ザ・常識」だが、それはなぜかと聞かれると……。専門家がその謎の一端を解き明かす。やっぱり納豆とヨーグルトはすごい!【國澤 純/国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」センター長】

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 近年、「脳腸相関」という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。脳と腸は互いに影響し合っていて、腸は「第二の脳」とも呼ばれるようになりました。

 この脳腸相関のシステムは科学の力で明らかになってきたわけですが、実は私たちの先祖は、はるか昔から体感として分かっていたような気がします。「腸(はらわた)が煮えくり返る」、「断腸の思い」。こうした「腹(腸)言葉」は、脳と腸の相関性を感じていたからこそ生まれた言葉なのではないかと思うのです。

納豆が「第1走者」でヨーグルトが「第2走者」

 このように、極めて重要な臓器である腸の中には、約40兆個ともいわれる腸内細菌が存在し、私たちの健康状態に大きな影響を与えています。

 とりわけ、いわゆる「痩せ菌」「デブ菌」の存在などが話題を呼び、腸内細菌のパワーに注目が集まっていますが、多くの菌は単体ではなく相互に連携し合い、いわばリレーのようにバトンをつなぐことで効果を発揮しています。従って、せっかく効果が期待される菌を摂取しても、リレーがうまくいかなければ無駄になってしまうことがあります。

 さて、みなさんは腸にいい食材としてどんなものを思い浮かべるでしょうか。「何となく良さそう」というイメージがあるものの代表として、納豆やヨーグルトが挙げられるのではないかと思います。

 では、両者はなぜ腸にいいのか。その理由のひとつは、腸の中で健康によい物を作り出す過程において、納豆を食べるとリレーの「第1走者」が、そしてヨーグルトを取ると「第2走者」が走り出すことにあります。

〈こう解説するのは、国立研究開発法人「医薬基盤・健康・栄養研究所」(NIBIOHN〈ニビオン〉)の國澤純氏だ。

 同研究所では、これまで9千人以上の日本人の腸内細菌を分析。2019年から、同研究所のヘルス・メディカル微生物研究センター長を務める國澤氏はまさに「腸研究のプロ」である。

 その國澤氏が、まずは改めて「腸内細菌のすごさ」について語る。〉

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